見出し画像

土の香りのする海老。食材としての昆虫が気にならない料理人は、マヌケだと思う。

あまから手帖 連載「食のSDGs事典」2021年2月号より。バックナンバーはこちらから。

ああ、目が回る。時代の流れが早すぎることに。

この記事の掲載は、2021年初頭。この時点で「食の雑誌に昆虫喰いはアリか?」と、内心おっかなびっくりだった。それが、今や小泉進次郎が口にするまでに。さすがにバッシングが起きたが、私は逆にホッとした。

元環境大臣が旗を振っての「持続可能な、未来のタンパク質だから食べるべし」「最先端の食だから、キモくても食べる俺がかっこいい」という推しようには、抵抗があって当たり前だと思うからだ。

記事に取り上げる上では、まず自分自身が「ゲテモノ食」という偏見を振り払わねばならない。松井崇さん、松井欣也先生という関西昆虫食界のゴールデン講師陣の昆虫食講座を受講した。
調理実習で松井先生が夏の間に採取した(ご苦労様です)セミの幼虫の冷凍を天ぷらでいただいて、ナッティな風味にビールが欲しくなり、コオロギの出汁の土の香りには「根菜と合うなこれは」と、料理のイメージが広がった。つまり、食材として普通においしい。

生き物を食べ物として口にする以上、ゲテモノと笑ったり、持続可能だから食べるという言い訳を挟んだら、昆虫にも、食べられるようにそれを作った人にも、食文化としてこれまでも昆虫を食べてきた人たちにも失礼だと思う。

この記事から半年後に、EUとイギリスが、ミールワームを食料として認可した。

あとは芋虫やコオロギの持ち味を生かして、「おいしい」とうならせる料理人の健闘を祈る!


「コオロギも、粉にしたら抵抗がない」という意見にも抵抗があるぞ。嫌なら食うな!

この記事が参加している募集

#SDGsへの向き合い方

14,661件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?