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○ 30という数字




 
ー子どもの頃、30才になったらそれなりの大人になっているのだろうと、期待が大きかったのかもしれない。

 30才を過ぎた時、やや打ちのめされた。誇れるものは何もなかった。
お仕事も胸を張って言えるものではない、お付き合いしている人もいない、周りからは空気を埋めるように、結婚について聞かれ、いい人が見つかるよという励ましとセットで言ってくれたが、その度うなだれていた。
 お盆とお正月がつらく、1人で遠い所へ旅に出てしまいたかった。実家に住んでいたので、子どもを連れて親戚が訪れ、子どもをかわいいと思いながらも、自分のだめさ加減に繰り返し落ち込むのであった。

 誰もが納得できる勲章みたいなものをみんなにの前にかざして、「こんなに一人前になったよ、大人になったんだよ。」と華々しくアピールし、両親と自分に、認めてもらいたかったのだと思う。それを心の底から望んでいた。
 しかし現実はなにもなかった。特に誰にも見せない詩をこそこそ書いては、お布団で泣いていた。

 32才くらいになった時、かたちになるような達成はなにもできなかったから、もう少しやりたいことをやろうと思った。アコースティックギターを少し習ったり、鼻歌からの曲作り、声楽レッスンの体験など。そのうち、職場で色々話せる女友達ができ、小さなライブハウスへ鑑賞のため巡ったり観劇などをした。詩も少しずつではあったが、シェアするようにしてみた。詩をシェアする過程の中で、旦那さんと出逢い、少しずつ生活が変化している。

 「 30才からスタート 」位のゆるい気持ちでよかったのだと今は思う。達成病にかかっていた。 楽器が上達しなくても、弦を鳴らすだけでさみしさが癒されたりする。 長いこと「 だめだ、だめだ 」と 自分をいじめてきたと、あるとき気づいたので、これからは、だめな自分もどこまでも許し、できる限り自分にやさしい言葉をつかっていこうと思ったのだった。
 
 

 
 

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