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2019 詩

17
ことばにこころをこめながら、手編みしていきます。
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#はる

沈丁花のころ

沈丁花のころ

  

 もも色の空に
 もも色の風が
 吹くような日

 風に
 花の香りが
 混じっている

 たっぷりと
 梅の木が
 話しかけてくる日

 冷たい夜風に
 胸の奥がツンとする
 満開の沈丁花

 降ってくる
 思い出に
 負けないで
 歩いて帰ろう

  
  
 

 
 
 

 

はるがくるよ

はるがくるよ

 
 
 はるがくるよ
 
 何もかもを巻き上げながら
 あたり一面吹き飛ばしながら

 はるがくるよ
 
 重いコートを飛ばしてしまう
 映画のワンシーンみたいに
 明日は服が舞うでしょう
 
 はるがくるよ

 きみの涙を乾かしてしまう
 鼻水も嗚咽もひかりのなか

 ねえきみ
 はるが くるよ