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イライラ母さんだった日の夜に息子が選ぶ絵本



なんだか朝からイライラしていた。


雨降ってたから?
PMS?
寝不足?
チリツモのストレス?


考えられる要因はたくさんあるけど、とにかく異常なほどのイライラが私を支配していた。

結構こういう日がある。


(更年期っていう噂もちらほら・・・。)



そんな日は、タオルが落ちただけでムカムカする。

「なんで落ちんだよ!」とか言っちゃったりする。

もう、止められない。

だからそんな時、朝から兄弟喧嘩なんぞ勃発しようもんなら、はい、ご想像通り。


もうそれはそれは世にも恐ろしいことになるわけです。ええ。


ちょっとでも「もぉーーーヤーメーテーよー」って揉める声が聞こえたら、パーーーーーンッと私の怒りメーターはすぐに振り切れ、


「もう、離れぃっ!!!!!」


って、6秒ルールだの、ペアトレで学んだ対応だの、そんなの遥か彼方、山の向こうにぶっ飛んじゃって、あっという間に大噴火。


もう、感情ぐっちゃぐちゃ。

そんな感情が蠢いたまま(うごめくってこんな漢字書くのね、なかなかパンチあるな)、出かける準備をせねばならず、

そーゆー時に限ってさ、繊細兄貴が、んまーーーースムーズじゃないわけっ。
なんだろね。
なんでだろうね。

朝ごはんも遊んじゃってなかなか進まねぇし、
最後の一口なっかなか食べねぇし、
食べたら歯磨きやんねぇし、


パーーーーーーーーーーーンッ!(ほら、またメーター振り切れちゃった)


夫に、

「今日行くところさ!!!!!キャンセルできたっけ!!!!」

と、わざと息子に聞こえるように叫んだ。


あー。
あかんやつね、コレ。
NG対応ね、コレ。

ええ、ええ、わかっていますとも。
でも、


あたい、今日は、無理なんすわ。


息子は、「えーーー何でぇぇ、行きたぁいぃぃぃぃぃぃ」と、ゴネゴネ言い出した。


ほらね、めんどくさいことになってきた。

完全に対応ミスった。


このままじゃやばい、と思った私は、自分を取り戻すために2階の寝室に篭り、壁に両手をついた。

ゼーハーゼーハー・・・
スリッパを床に叩きつけなくなっただけでもヨシとしよう。

だいぶ呼吸が整ってきた。
私はごろんと横になった。


はぁ。

ただ、楽しく出かけたかっただけなのにな。
すでに、疲労感。


まぁ、そのあと、なんとか出かけられたけども、私はずっと、1日中なんだかモヤモヤが晴れなかった。


夜も、ずっとイライラしていた。


息子2人がそんな私を見て、私がブチギレた自分たちの行いについて謝ってきた。


「お母さん、ごめんね」


いやいやいやいや、坊やたち。


これはぁ・・もう、あれだな。息子たちがどーのって感じじゃないな。
完全に私の問題だわ。


「いやー、もうさ、なんか、お母さんの中にイライラ虫が悪さしてて、あなた達のせいじゃないから。ホルモンかなー。ホルモンバランスが乱れてるのかなー。お母さん、こーゆー日、よくあるじゃん?ね、だから、またなんか、こーゆーことあったら、あー、お母さんホルモンのせいだな、ホルモンホルモン、って思っといて」


と、息子たちの前でホルモンという言葉を、連呼した。


私の疲れは就寝を迎え、ピークに達した。
ゴールまであと少しだ。あと少し!

家族4人で寝室に行き、電気を消して、布団にダーーーーーイブッ!!!


「絵本読みたかった」


・・・・・・・はい?


「寝る前に絵本、読みたかった・・・」


と、ポツリと繊細兄が言った。


いやいや・・・ないわー、それはないわー
もう布団にダイブしたし、電気消してもうたし、完全に脳みそ寝るモード入ってるし。
無理やわー


と、思いながら聞こえないフリをする母。


「絵本読みたかったなぁ。読みたかった。絵本読みたかったなぁ。絵本なぁ。読みたかったなぁ。絵本なぁ。」


・・・・・・あーもう!じゃあかぁしぃーーー!!!!!
呪文か!


「わかっっった!1冊持っといでよ!!!」

と、私が叫ぶと、息子は嬉しそうに絵本をとりに1階へ降りて行った。

はぁ。
ほんと、疲れる。


・・・・・嫌な予感がする。



「ねぇ、・・・・あの絵本持ってくる気がしてならないんだけど」

と、夫に言うと、

「間違いないね、絶対持ってくるわーあれ」


そう。
私が今日みたいにイライラしてぐっちゃぐちゃだった日の夜に、息子は、「これ読んで」と、持ってくる絵本があるのだ。


それは・・・


「おかあさんだいすきだよ」




「無理無理無理。私、無理だわ。今日は読めない」

と、私、全力拒否。

「僕が読むよ」

と、夫が(頼もしく)言ってくれた。


るんるんで寝室に戻ってきた息子は、やはり、例の絵本を抱えていた。


私も夫も笑いをこらえきれず、大爆笑。


「やっぱり持ってくると思ったわ!」

と、ツッコミを入れると、息子はウフフと笑った。
確信犯だ。これは。


夫が代わりに読んでくれた。

おかあさんは「はやくねなさい!なんじだとおもってるの!」っていいうけれど・・・

「ねむらなくてもいいから、おふとんでいっしょにゴロンってしようか」っていってくれたら

ぼくねもっとおかあさんのことだいすきだよ。

「おかあさんだいすきだよ」みやにしたつや 作絵



これ関連のことが、これでもかってくらいたたみ掛けてくる。

もう、なんていうか、笑うしかない。
途中から、夫がツボに入ってしまい、声を震わせながらも最後まで読んでくれた。


あぁぁぁぁ
これ、お母さんさっき言ったやつーーー


絵本を通して、息子から語りかけられているようで、

すんまへんでした(テヘペロ)。

と、心の中で謝る母。

嗚呼、この絵本、何度読まされたかことだろう(遠い目)

時には、イライラしながら。
時には、マッハのごとく早口で。
時には、棒読みで。


そうだとしても、
読み終わった後には、私もみんな笑顔になっている。



この日の夜も、


「みんな、笑顔になったね!」


と、ツボに入った夫が素敵な言葉で締めくくってくれた。


息子は・・・っていうか、子どもちはみんなきっと、いつだってどんなお母さんのことも大好きで、全力でその想いをぶつけてくる。

無償の愛を注いでくれる。


こっちはさ、すぐに「ここまでやってるんだからさぁ」とか、「疲れてるんだからさぁ」とか、もっとあーしてほしいこーしてほしいって見返りを求めがち。


しょうがないよネ、母も人間だし。


でも、きっと、待ってる。
あの言葉を。



イライラ母さんだった日に、この絵本を持ってくるのは、あの言葉を言ってほしいからだよね。


いろんな感情手放して、ただ、伝えよう。


「おかあさんもあなたがだいすきだよ」



だから、安心して、眠ってね。
いい夢が見られますように。

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