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HSC(Highly Sensitive Child)を育てるということ

【回想録】


HSC(=ひといちばい敏感な子)チェックリスト

1、すぐにびっくりする
2、服の布地がチクチクしたり、靴下の縫い目や服のラベルが肌に当たったりするのを嫌がる
3、驚かされるのが苦手である
4、しつけは、強い罰よりも、優しい注意の方が効果がある
5、親の心を読む
6、年齢の割に難しい言葉を使う
7、いつもと違うにおいに気づく
8、ユーモアのセンスがある
9、直感力に優れている
10、興奮したあとはなかなか寝付けない
11、大きな変化にうまく適応でない
12、たくさんのことを質問する
13、服が濡れたり、砂がついたりすると、着替えたがる
14、完璧主義である
15、誰かがつらい思いをしていることに気づく
16、静かに遊ぶのを好む
17、考えさせられる深い質問をする
18、痛みに敏感である
19、うるさい場所を嫌がる
20、細かいこと(物の移動、人の外見の変化など)に気づく
21、石橋をたたいて渡る
22、人前で発表する時には、知っている人だけの方がうまくいく
23、物事を深く考える

「ひといちばい敏感な子」エレイン・N・アーロン著



私がHSCを知ったのは、息子が年長に進級して3ヶ月ほど経った時だ。
息子は、上の23項目全てに当てはまった。


これだ!

私の目に映る息子の姿、どうしてもわからなかった息子の行動、言動は、全て、生まれ持った性質によるものだったんだ!


今までなんで?なんで?と思い続けてきた頭の中の「モヤ」が、パァーーと晴れていくのを感じた。全てのことが腑に落ちた。

私は嬉しくて、家族、友達、いろんな人にそのことを知らせた。

ほとんどの人が、「HSC??」「聞いたことあるけど、詳しくは知らない」と私と同じ反応だった。

その日から、HSCの本を何冊も読んだ。
調べれば調べるほど、息子のことが書かれているようで、心がとても楽なった。


世の中には、息子のように生まれながらにして、繊細な性質を持つ子どもがいるんだ。
しかも、5人に1人の割合で。
そうなんだ。そうか。そうだったのか!


私は、息子のことを理解してもらいたくて、園長先生と、担任の先生に熱い思いを伝えた。
その時も、まだまだ認知されていないんだな、と感じた。

でも、私の心は少し複雑だった。
息子は、HSCだろうがなんだろうが、息子は息子なのに、「HSC」という名前がつくとなんで、私は安心したんだろう。なんで楽になったんだろう。


「HSC」だから、仕方ない。
「HSC」だから、育てにくさを感じても仕方ない。


だから、なんだ。
その先は?

私の今までの「モヤ」は「HSC」を知ることで晴れたが、


息子は、息子だ。

幼稚園に行き渋り、イライラ困り果てため息連発の母に、息子は言った。


「お母さんの気持ちと僕の気持ちは違う。お母さんは幼稚園に行って欲しいかもしれないけど、頭ではわかってるけど、僕の気持ちは行きたくないの。だから、頭と気持ちで闘ってるの。
考えてる途中に無理に何か言われると、せっかく考えてあるものが消えてなくなっちゃうでしょ。僕は自分で考えるから。」


と。
すごいこと言うな、とこの時返す言葉が見つからなかったことを覚えている。

つまり、大変な現状は何一つ変わらない。



私の思考が「仕方ない」で終わらせている限りは。


年長の時は、大目玉であるリレーに、挑戦するかしないかの狭間で葛藤し、トラックの中で、見守り先生の膝の上にのり、大泣きしていた。
私は、大声援の中、遠くで泣いている息子を見ていた。
目の前を次々に一生懸命駆けていく子供たち。

私も、みんなみたいに、応援したかった。
一生懸命走る息子の姿を見てみたかった。
みんなみたいに。
涙が出た。

私はまだ、自分の中の「普通」自分の中の「子供像」を手放すことができずにいた。
そんな自分の張り裂けそうな気持ちを必死に飲み込み、

泣きなが見守り先生と手を繋いで園児席に戻ってくる息子を精一杯抱きしめた。

こんなに、こんなに頑張っているのに。
私は、私は、一体息子の何を見ていたんだろう。
何が、「HSC」だ。
何が、「息子のことがわかった」だ。


何も、私、変わってないじゃないか。


(ごめんね)と心の中で伝えながら、息子の背中をさすり、


「トラックの中まで行ったね!それでオッケー!」

と、グッドサインを息子に見せた。
息子に笑顔が戻った。


息子は、恐らく「HSC」だ。

息子が3歳の時に、ずっと窓から夜空を見上げなかなか寝てくれない時があった。
私はその時、何を言っても寝てくれない息子にイライラしていた。
なぜ、息子が夜空を見上げているかよりも、早く寝て欲しいという自分の気持ちばかり考えていた(覚えてないけど、きっとその日も息子の対応に疲れきっていたんだと思う)。


息子は、言った。

「キラキラしてるお月様が大好きなの。だから、サヨナラしたくないの」

私は、ハッとした。

息子が見惚れていたその先には、キラキラ輝いているお月様がこちらを見ていた。
見上げている息子の目がとても美しく綺麗だったことを覚えている。


その時から、すでに、「ひといちばい繊細な性質」を持つ息子と向き合っていく人生は始まっていたんだと思う。
私が、気が付かなかっただけで。

息子が「もう、気持ちがパンクしちゃったの」と打ち明けてくれて良かった。

息子の溢れ出す感情に蓋をしなくて良かった。

全力で「僕は嫌だ!」「僕は不安だ!」と感情を爆発させてくれて良かった。


園長先生の言葉を思い出す。

「はみ出たところに、実は素晴らしいものがある」

息子は、私の価値観をこれでもかってくらいぶっ壊してくる。

それでいい。

こちら、本当に、めちゃくちゃ大変だけど、

それでいい。
ぶっ壊してくれ。


気が狂いそうになるほど大変だけど。
全てにおいて、本っ当にスムーズにいかないし。

それで、あなたが、自分の感情に蓋をしないですむのなら。

ぶっ壊してくれ!
つまらない母の価値観を!母の「普通」を!

大変だけど(これを言わずにはいられないのヨォ)


HSCを育てることは、人生で最大の、そして最高に幸せな挑戦です。問題を解決するたびに、あなたは成長し、大きなものを手に入れていくでしょう。親に多くのことを要求してくる子ほど、親に大きな喜びを与えてくれるものです。

「ひといちばい敏感な子」エレイン・N・アーロン著


息子は、どんな人生を歩むんだろう。

HSCだから「仕方ない」、HSCだから「生きづらい」で終わらせたくない。

息子の特性をもっと理解して、息子を羽ばたかせてあげたい。


そのためにやることは、ただ一つ。


私の今までの思考を変えること。

「仕方ない」で、寄り添い続けてなんとか今まで乗り越えてきたが、

『小学校』という大海原を前に、限界がきてしまうことになる。

私は、この時、決意する。
今までの思考をひっくり返すことを。

そのことは、また今度、綴っていこうと思う。


これがあーた!とんでもなく難しいことで!
今もね、絶賛もがき中ですよ。

幼い頃から、「こーしなさい、あーしなさい」の指示と、「これはやってはいけない」「これができてないよ」の注意だらけの世界で私は育ってきた。

「みんなと同じ」がいいとされる世界。

目の前の息子は、その世界をとことん拒否する。

大人の凝り固まった価値観をひっくり返すとかね、容易じゃない。
特に私はべきべき人間だから。
みんなと同じだと安心するから。
べったり今までの思考様が私の脳みそにおつきなっていて、それを剥がすとか、、んもう、なかなか剥がれてくんない。

ベリベリベリ、あっちへポーーーーーーイッ!


って、できたらなぁ。

私は私、息子は息子。
私の「普通」をすぐに息子に押し付けてしまう。

私と息子の間に、「線引き」が必要だ。
これがまた、なかなかできないのヨォ。


今、コツコツ土台を作っているんだ。
息子が、強く生きていくために。

あなたには、力がある。
世界は広いぞ。

この先の、まだ見ぬ世界の、「何か」に繋がっていると思うから、


私は挑戦をやめない。

「ひといちばい繊細な性質」を持って生まれてきた息子を育てる、という


人生最大の、そして最高に幸せな挑戦を。

大変だけど(やっぱ言っとこ)。


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