散歩

ここ数日、散歩をするように心掛けている。
案の定、緊急事態宣言後は朝4時まで起きて午後1時に起きられたらラッキーという典型的な昼夜逆転生活だ。そのため専ら散歩は夜中になる。まだ肌寒い夜に最近は歩かなくなった道を歩いてみると色んな記憶が蘇る。誰にも会えないことも相まって昔のことばかり思い出してしまう。
元彼と付き合っていた夏の夜、2人できのこ帝国のクロノスタシスなんか口掴みながら、近所の団地を抜けてGEOにDVDを借りに行った。GEOの隣の酒屋さんで、当時わたしはめちゃくちゃビール券を持っていたので瓶ビール(大瓶)を3本とタバコを無料で手に入れた。引きちぎれそうなビニールに詰め込まれた瓶がカンカン当たる音と虫の声だけで静まり返った団地を引き返して、わたしのワンルームへ帰る。お揃いの花柄の小さなビールグラスに注ぎ合って全然当てられない利きビールしたり、結局わたしは酔っ払って映画を最後まで観ず寝てしまう。そんな夜が何度もあった気がする。風情があると言って缶ビールであっても必ず移して飲むほどお気に入りだったその花柄のグラスの1つを最近割ってしまった。よく通ったあのGEOも今では100円ショップになって、団地に足を踏み入れることもなくなった。もうあの夏はやってこない。センチメンタルになるには十分過ぎる思い出。

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