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未開の議場オンライン 九州・沖縄版を始めるに当たって。

皆様こんにちは。
未開の議場オンライン 九州・沖縄verプロデューサーの鄭慶一(ちょん きょんいる)と申します。

本家の公開から2ヶ月ほどが立とうとしてます。
今回九州・沖縄版を行うにあたり、どうしてこの作品に関わりたいと思ったかを少し書いていこうと思います。

九州から東京に

僕は普段、福岡県の北九州市で舞台芸術のプロデュースを生業にしています。
新型コロナウイルスの影響でいただいていた仕事が延期・中止になりどうしようか考えていた際に、作/演出の北川大輔さんにお誘いいただき、とあるお仕事に携わることになりました。
北川さんとは以前より面識があり、お互い九州の人間ということで意気投合。
東京にいる北川さんの方が僕より九州鈍りがひどく、外出自粛も手伝ってかまるで九州にいるようでした。
 
で、未開の議場オンラインのアーカイブを、作/演の解説を聞きながら観劇するという、はちゃめちゃ贅沢な観劇体験をさせていただきました。
俳優のモチベーションとテクニック、お話の強度、zoomを使ったテクニカルな部分までとても完成されていた作品だと感銘を受けました。
演出の北川さんは大柄で剛気な性格に似合わず、微に入り細を穿つクリエーションをする方だなぁと思ったものです。
楽しく作品を拝見した一方、なんだかうまく言い表せないモヤモヤとした感覚を覚えました。

この国の人間ではないということ

3ヶ月ほど前に居酒屋で偶然出会った人に、面と向かって「わしは朝鮮人は嫌いだ」と言われました。(あ、僕は在日コリアンです。)
あれは刺さった。刺さりました。
なにせ生まれて初めてのことでしたし、困ったことに僕にはその人を嫌う理由がない。
だから始末が悪く、あのモヤモヤした感情は処理できないものでした。
あの時のモヤモヤに似ていました。
僕は多分「トメニア人」としてこの作品を観ていたんだと思います。
(大前提として、僕はこれまで沢山の日本の方に支えられてめちゃくちゃ幸せに生きてきたので、大好きです、日本の皆さま。)

僕は戸籍上韓国籍の韓国人なんですが日本ではよく「もうほとんど日本人みたいなもんだよね!」とよく言われます。一方、韓国に行くと異国の地で半島の文化を守る同胞(キョッポ(僑胞)と呼ばれます)として扱われます。
要するに「日本人でもなければ韓国人でもない人」な訳ですね。

僕があの場にいたならば。もし萩島銀座商店街のトメニア人だったなら。
あの人たちはああだからこうだから、と言われたらどう思ったろうか。
それはとてもリアルな想像でした。
「自分達とは違う者」であるという人生を生きてきて、改めて。

どこにでもいる「トメニア人」

未開の議場は会議です。
本筋の「萩島フェスタ」の運営から脱線し、「トメニア人と生きる自分達」というそれぞれに深度の違う認識があることに驚き、議論は過熱し、自分とは異なる認識を突きつけられます。
無自覚に「トメニア人」に突きつけていたものが自分に向かってくるかのように。
 
僕はこの作品が、時世も手伝ってか劇場という限定的な空間ではなくオンラインで沢山の方にご覧いただけることに深い意義を感じています。
観劇後、自分の近くにいる「トメニア人」とどう向き合うのか、考えるきっかけになれば幸いです。
 
九州・沖縄以外の皆様
九州・沖縄にも、でたんよか俳優がようさんおるんけんね。
本家もはがいいくらい、いー作品やったけど、こっちも負けんけんね。(勝ち負けやなかけど。)
本家見たけんもう見らんでいいとかこすいこと言わんで、時間とっとってパソコンの前で待っちょってね。
 


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