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「風がほどいた茜色」




冷たい指先が木の葉を撫でて、
茜色の影がぽつり、ぽつりとこぼれる。











光は斜めに差しながら、
無くしものを探すように、
残された枝を透かしていく。











肌寒さに縫い込まれた寂しさが、
風の中で、音もなく解けていく頃、
葉は静かに背を向け、
もう届かない空を目指して揺れている。












消えゆく一枚一枚が、
何かを語りたげに落ちていくけれど、
その声はいつも、木枯らしにさらわれるだけ。












そして地面に触れた茜色は、
誰の目にも触れることなく、
寒さとともに滲んでいく。










滲む。


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三ヶ星 灯(みかほし ともり)
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