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創作文

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2019年2月の記事一覧

本当は自炊なんてしてない

蛇口をひねり、やかんに水を入れる。
これはケトルに変えたい。
今すぐティファールにかえたい。
カップ麺のフィルムをめくる、
かやくとスープを取り出す、
かやくを麺の上にあけ、お湯を線までいれる。
蓋の上でスープの小袋を温める。

3分たったら、即席麺ができあがる。

「オマエさ、自炊したら?」
「たまにしてるんだけどな。このカップ麺の安い味が好きなんだよ」

ワインレッドの艶、指先に。

あの娘の爪はいつも派手。
ネイルアート、とかナントカ。あぁいうのしてる子は大人に見える。
わたしもああやって、爪に色を乗せれば大人になるのかなぁ。なんて考えて、コンビニで血豆みたいな色?多分ワインレッドというもののネイルを買った。
コンビニ袋をガサガサ言わせながら帰宅する。
心はなんだかほくほくしている。

ブラックコーヒー

ブラックコーヒー

喫茶店、奥の席。ついてすぐに注文。

アイス…えっと、ブラックでお願いします。

すっきりと、苦い。少しだけ酸味があって、そして奥が深い味。
この琥珀色の飲みものはいつも、アイスの無糖と決めている。
と、彼は言う。

「苦いな」
「なら飲まなきゃいいじゃん」

「いや、いいんだ」

「じゃあ文句言わないでよ」

「文句じゃねえよ」

わたしのは、お砂糖たっぷりで、ミルクもたっぷりだ。

この男のい

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