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2024年6月22日 中世音楽講座の様子
素晴らしい響きのさや堂ホールでイントナツィオ定型とグレゴリオ聖歌の冒頭を歌いながら歩いている様子。音のみを収録いたしました。 私はモデル・アンティフォンとソルミゼーションの奨励によって大きな変化がもたらされたのは、歌唱技術であると思います。モデルアンティフォナやソルミゼーションの理念は音を固定させて記憶すること。それによって歌唱技術もいわゆる「音を取る」という事が求められるようになったと思います。偏見だとは思いますが、私はモデル・アンティフォンとソルミゼーションが、いわゆる固定ドの土台を作った(もちろん固定ドが確立されるのにそれから何百年もかかっていますが。)とさえ考えています。ここには歌唱のかわりに器楽の使用が頻繁になっていくという状況も出てきます。 エネケマタにはモデル・アンティフォンの様な歌詞はありません。すべてが意味が不明瞭なギリシャ語風のシラブルー正格はNoeanne 変格はNoeagis等ーで、固定されていません。つまり歌唱的には非常にスムーズな運びで流れるように発声することができるのができるのです。 エネケマタはもちろん各旋法の識別が目的なわけですが、それと同時に非常に自然な発声や各旋法における声の使い方というものをアプローチできるのです。 これは実際に繰り返して歌わないとわからないかもしれません。 それが今私たち忘れてしまっていることだと思います。 そういう意味でエネケマタの重要性というのを再認識してほしいと思います。 でも、結局はエネケマタは西洋音楽の歴史ではダジア記譜法と共に消滅、化石化されてしまいましたね。物事はいずれは古くなっていきます。後世に合理的に音楽教育を進めていくためには、やはり「わかりやすく決めていく」という事が必要なんですね。仕方がない事です。