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インテリアの軸をどうするか問題。

週報で書いた話をちょっと掘り下げてみます。

「北欧インテリア」とか「ミッドセンチュリー」といった、いわゆるインテリアイメージとかインテリアテイストと言われるもの。一定の方向性を決めるには有効ですが、それだけで軸が決まるでしょうか?

答えはNo。

ひと口に「北欧インテリア」と言っても、例えば『かもめ食堂』のような白ベースのシンプルなインテリアもあれば、マリメッコなどのテキスタイルや小物を使ったカラフルインテリアもあります。

軸がぶれると、せっかく高いお金を払って手に入れた家具が「なんか違う」となってしまう可能性がありますし、そういった気持ちで毎日を過ごすのも悲しいことです。

今日は、「インテリアの軸をどうするか問題」にぶち当たっている方のヒントになりそうな方法を2つご紹介したいと思います。

インテリアコーディネーターのトレーニング方法

インテリアの専門学校では、写真を徹底的に分析することからトレーニングが始まります。

こんなマトリクスを提示され、4種類の写真を選んで持ってくる授業。

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今はInstagramとかPintarestがありますが、当時はまだ無かった。学校にある雑誌を漁って、それらしきものをコピーして・・・というアナログなことをやっておりました。

感覚的には何となく分かると思うのですが、ばちっと合う写真を探すのは意外と難しい。特に、日本のインテリアはほぼLightに当てはまり、Heavyを探すのに苦労した記憶があります。

この課題をやると、家具の形に敏感になります(特に脚の形、椅子の背の形)。そして、色の合わせ方の合う・合わないにも敏感になります。(Warm=イエローベース、Cool=ブルーベースの色。※イエローベースのブルー、ブルーベースのイエローもあります)

この課題が済むと、次は自分で軸を作ってまた写真を集める、を繰り返します。当時のことは忘れてしまいましたが、今作るとしたらこんな感じでしょうか。

Modern(現代的な)⇔Classical(古典的な)
Monotone(単色)⇔Colorful(多色)
Clean(清潔な)⇔Shabby(古びた)
Urban(都会的な)⇔rustic(素朴な)

必ずしも対義語ではないと思うのですが、イメージとして対極になりそうなもの。これもやってみると、家具とカラースキームが空間に与える影響が分かってきます。

世の中のインテリアコーディネーターはこうやって空間イメージをコントロールする術を学んでいきます。

インテリアコーディネーターの志望動機はほぼ100%「インテリアが好き」なので、この課題の過程はそのまま、それぞれが「私の好みってやっぱりこっちなんだな」という理解を深めていく過程でもあります。(クラスのメンバーは2年間固定なので、自由課題は名前を見なくても誰の作品か分かるくらい(笑))


「好き」の解像度を上げる方法(簡易版)

お時間に余裕のある方は上記をぜひやってみていただきたいですが、なかなかそこまでやるのは難しいと思うので、ここからはもう少し簡単に「好き」の解像度を上げる方法をご紹介したいと思います。

「好き」の解像度を上げるメリットは、前述した「なんか違う問題」が発生しなくなることです。(例えば、憧れの家具ショップの家具や、好きなインスタグラマーさんと同じアイテムを自宅に取り入れてみたけど、なんか違う・・・・・・とがっかりしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。)

人気家具ブランドのunicoさんの画像をお借りして、解像度を上げる一例をご紹介します。(なぜunicoさんを選んだかというと、うちのレースカーテンがunicoさんのカーテンだからです!)

第一問。(問?)

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例えば、この写真を「ステキ!」と思い、ソファ、テーブル、オットマン、TVボードをセットで購入したとします。これを自宅に置いてみたらどうなるでしょうか。

どのような雰囲気になるかは、ご自宅の「床の色」次第です。もし、この画像のように黄みのない白い床だったら、近い雰囲気になるかもしれません。
逆に、こげ茶のような濃い床だった場合は、写真のようなヌケ感は出ません。もっと重厚な、落ち着いたイメージになります。

また、この写真のアクセントになっているのは、右奥のイエロー&エメラルドグリーンのアートと、左手窓側の植物。これを手で隠してみると、日常の風景に近くなります。こういうアートを置きたい・置きます!ならOK、置かないけど日常っぽい雰囲気こそ好き!もOK。ですが、アクセント無しで写真のような雰囲気にしたい!はNGです。(NG=なんか違う問題発生)

自分が写真のどこに惹かれたのか?を深掘りすると、それが自宅で実現できるかどうかが分かります。(インテリアショップの写真は、床壁がおしゃれでズルい(!)写真が結構あるので要注意です(笑))


第二問。

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この写真の「素敵」は照明に尽きます。これが蛍光灯の下の写真だったら、かなり日常感が出るでしょう。


それが分かったうえで「ベッドヘッドに小物が置けるのが良い。木の色も好みだし」ならOK、ということです。そして「照明も同じようにしよう」と照明計画へ繋げるとなおGOODですね。
それから、ベッド周りは特にモノが溜まりやすいですよね(私だけ?)。携帯の充電コードとかめがねとか本とかハンドクリームとか。「モノの密度」を観察しておいて、見習うと良いかもしれません。

以上、unicoさんのお写真でした!(いろいろ書きましたが大前提としてunicoさんの家具を「素敵!」と思っております!)


こうして分析していくと、「自分はこのくらいゆとりがある家具配置を好むんだな」とか「家具は脚付きのすっきり感が好きなんだな」とか、自分の好みの方向性が分かってきます。

インスタやピンタレストで、好きなイメージを10~30枚くらい保存して、写真を分析していくと良いでしょう。

まとめ

前半の「インテリアコーディネーターのトレーニング方法」は、インテリアイメージのMECE感(全体感)を身に付ける方法だと思っています。これを身に付けると、あるコーディネートを見た時に「もう少し軽い方が好き」「もう少しラスティック感が欲しい」など、「なんか違う」からの調整が効くようになります(軸の中のつまみを調整して好みの感じに仕上げる感覚)。

後半の「『好き』の解像度を上げる方法」は、自分の好みを深掘りして、「好き」の理由を明確に説明できるようなるためのトレーニングです。

「好き」の理由が明確になれば、自分の好みからブレることなく自分の好きなインテリアを作っていけますし、2人暮らしをするなら一緒に住む相手にプレゼンが出来ます。相手の好みと調整する際に、譲れない点と譲れる点が明確になるのも良いことだと思います。

家電を「白か黒か」で悩むような場面でも、「軽さを保ちたいから白」とか「軽さの中にアクセントが欲しいから黒」など判断の助けにもなるでしょう。

いかがでしたでしょうか?


いろいろ書きましたが、インテリアは本来楽しいもの。すべてを忘れて、自分の直感に従って好きなものを集めていくという方法もあります。
ただ、その方法でセンスの良い部屋に仕上げられるのはごく一部であることも事実。限られたお金と空間を使って、自分好みのインテリアを作り上げるための一助となれば幸いです。

ここまで読んでいただいてありがとうございました!


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