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離れて暮らす親の介護をどうするか問題(1)

ついに親の介護のことを真剣に考えなければならなくなった。

今年80歳になる父が難病を患い、日々の生活全てに介助が必要になった。そもそも椅子から一人で立ち上がることができないので、トイレに行くのに常に人の手が必要。トイレまで行けても、便座に腰を下ろす、パンツを下げる、などが自分ではできない。歯磨きや入れ歯の管理も自分でできない(ちゃんとできていないので介護者が手を貸さないと清潔を保てない)。入浴ももちろん無理。食事は嚥下が難しいため、とろみのあるものでないとむせてしまう。こうした状況は、年末に体調を崩して以降、ガラガラと何かが崩れて行くように急速に進行した。そう、だって昨年夏は、一時帰国した私たち家族と一緒に国内旅行やディズニーランドに行ったりしていたんだもの。その時ですら、父がすぐ疲れてしまうので、休み休みの行程を組み、ディスニーランドもすぐ帰って休める距離にホテルをとっていた。でも、今の父の状況を見ると、旅行はおろか近所に出かけることすらはばかられる。

昨夏、父と一緒に乗ったロープウェイから見た富士山

本当にこの数ヶ月のことなので、母が体を張って老老介護してくれていた。しかし、24時間体制で毎日父の介助をしなければならないので、母が体力的にも精神的にも疲弊してしまっているのがLINE越しに伝わってくる。食事には1時間もかかり、やっと終わっても、食卓から立ち上がらせ、椅子に座らせてやり、その食べこぼしの始末をして食器の片付けをし、やっと終わったらトイレの介助が必要になる。夜は数時間おきにトイレに起こされ、用を済ませてベッドに入る手伝いをしてやり、自分が布団に戻る頃には30分以上たっていることもざらだったようだ。そしてまたその数時間後に起こされることになる。新生児の世話と同じくらい手がかかり、体力的に消耗することを70代の母がたった一人でしている。しかも相手は大人で、軽く抱き上げられる赤ちゃんとはわけが違う。体を支えられない父と一緒になって転倒してしまったこともある、と聞いて震える思いがした。これで母まで骨折したり怪我をしてしまって倒れたらどうなるのだろう、と。

自分が近くに住んでいれば、合間を見つけて実家に顔を出し、数時間でも母を休ませることもできただろう。私には弟が二人いるものの、激務で自分の家族と過ごす時間もままならないような働き方をしているので、母は弟たちを煩わせてはいけないとLINEを入れることすら躊躇する。日々の介助、日を追うごとに悪化していく父の状況、頼る子どももいない、もちろん外出もできないので友人と会うこともない。母がそんな生活を送っていると思うと申し訳なくて涙が出た。どんなに不安で心細いだろう。子どもが3人もいるのに、頼りにできる相手は一人もいない。

このままでは母が倒れてしまう。急いで介護保険を使って受けられるサービスはないのか調べ始め、サービスを受けるために必要な介護度の判定をしてもらうことになった。

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