歳をとるってこういうことか!ーー中年女性の健康事情
幸い健康体で、めったに体調を崩すこともなく、むしろ体力や自分の健康度には自信があった私。子どもたちが保育園や学校でしょっちゅう何かのウイルスをもらってきてしまっても、必ずうつってしまう夫を横目に、自分はいつも無事。健康に恵まれた体質なんだと思っていた。
ところが、この1、2年でその自信を揺らがされるようなことが立て続けに。帯状疱疹になってみたり、コロナに初罹患したり、脳ドックでD判定をもらったり……。たぶん更年期障害なんじゃないかという症状も経験。幸いなことに体調を崩すことがほぼない人生をこれまで送ってきていたため、病院に行かなくちゃいけないとか、ちょっと具合が悪い、というだけでものすごく不安。たとえば、コロナにかかった時は、原因はわかってるし、どうするかもわかってるし、大して重症でもなかったのに、なんかぐったりしてしまって何もできない。普段健康な人がちょっと体調を崩すとなんだかすごく病人ぽくなる不思議。
おそらく更年期障害だと思われる症状は、めまいと頭痛。生まれてこのかた、めまいなんて経験したことがなかったので、自分に何が起こってるのか?と、ものすごく不安に。頭痛は、寝不足だったりすると出ることもあったけれど、あまり慣れてないので、未知の症状に色々と妄想がふくらみ、これはもしや脳ドックでD判定が出てしまった「脳動脈瘤疑い」と関係しているのでは……と不安になり、もしかして自分は死ぬんじゃないかと(笑)。いや、まあ人間いつ死ぬかわからないのだけれど。そして中年の脳卒中とか蜘蛛膜下出血は割とよくある話らしいから笑い事ではない(調べまくって、こういう知識がついたのはよかった、のか?)。
帯状疱疹は、母が何年か前にうちに滞在中にかかってしまい、それを目撃していたのでわかりそうなものなのに、全く見当がつかず、これまた未知のこわい病気では、と不安で眠れなくなった。疱疹が出ないタイプだったから、クリニックでも誤診され、見当違いの薬を処方され、症状は日を追うごとに悪化。薬を飲んでいるのによくならずむしろ悪化していく恐怖(汗)。帯状疱疹と見当がついて、専用の薬を飲むようにしてからは、そういう不安は解消したものの、背中に走る激痛にまた眠れない。病気になるって大変なんだな、と。
こうなってみてやっと、健康とか体力はある程度若さに付随しているもので、歳を重ねるごとに衰えていくものだと初めて実感できた(遅い)。そして、その先に必ず私たちを待っている死。大学院時代、教授が「きみたち、自分が死ぬとか思ってないでしょ」とつぶやかれたことがあったのをふと思い出した。そう、人はいつか死ぬと認識していたものの、先はまだまだ長く、自分とは無縁の抽象的な概念でしかなかった。中年になって、自分の健康状態に陰りが見え始め、体力の衰えを感じるようになり、死はぐっと身近なものとして感じられるようになった。そして中年は順当にいくと折り返し地点。先の見えない長いトンネルにいるようだったけれど、もう出口がうっすら見えていたり。で、いわゆるミッドライフクライシスなる反応をしてみたりする人が出るんだろうな。その気持ちはわかる。
そして、中年女性が更年期という自分の体の大きな変化を感じるタイミングは、親の老いを感じるタイミングとかぶる。否応なくその影を濃くする死の存在。老いや衰え。こう書くと、なんだか暗くなるけれど、死を身近なものとして抱きながら、残っている時間を最大限に使おうと思えたのは大きな収穫。自分にとって何が大切なのか見極めようとするし、それ以外のことに時間を浪費している暇はない。時間こそが最大の資源、というよく耳にする言葉が、本当に重みを持って自分に響く。死や老いは恐ろしいものの、今持っているものへの感謝もわいてくる。これぞ中年の知!なんて思ったりする。
ここにつながるわけです。
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