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子離れならず、ヤギ離れ?②

 愛知の時の台風、つまり暴風警報発令はどちらかというと嬉しかったです。

 私は多分、集団生活・行動が苦手で学校はどちらかというと居心地悪かったです。どうたち振る舞ったら良いか分からず緊張してしまうのでしょう。『眠いから帰りたい』とか保健師の先生に言ってしまう子でした。それなりに楽しい思い出もあるのですが。
それで暴風警報が出るかも、、なんて時はワクワク、そしていざ休校が決まるとホッとしてました。
 暴風警報が出ても半日もすれば過ぎ去っていって、例えば午前中はステイホームでも、午後にはお出かけもできたりして、翌日は晴れ晴れとした台風一過というのが私の持ってた台風のイメージです。

 私が現在住む離島、早い時は6月くらいに台風のコースにはまったり暴風・強風圏に入る時があります。そしてミー子がやってきた年はそれに当たってしまいました。

 ミー子はお気に入りの離れのお風呂andトイレで過ごしてもらう事に。首から伸びたリードを開閉式窓のアームにくくりつけました。餌も3日分の枝葉を浴槽の隣りにばさっと置く。そこらじゅうにうんこおしっこ。経験からトイレットペーパーはホルダーから外して届かない場所に避難。さすがにミー子が浴槽に入る事はしませんでしたが、私が浴槽に浸かってるすぐ隣でミー子がポロポロうんちをする初体験もしました。うんこは浴槽には入らなかったのでご心配無く。

 コレ、1日2日なら楽しめます。けれど今回の台風いつまでもウロウロしてるのです。風力が強い台風はゴォーっと一気に過ぎ去る傾向らしい?のですが、風力がさほど強くない台風って長く滞在しがちだそうです。どうもまだまだウロウロしそうな気配なんです。もうこれ以上はうんこが転がる浴室は耐え難いかも、、

 台風4日目ミー子の食料が尽きました。雨が弱まったタイミングでミー子を散歩に連れ出しました。ミー子は他所のお庭から道路にはみ出てる木の葉を食べつつも、雨が強まった時は風向きを感覚的につかんで、雨が当たりにくい壁際などにサッと移動します。まるで『こっちがぬれないよ』って私をいざなってくれるみたいに。『すごいなぁ、すごい感覚であり能力だなぁ』と感心します。ヤギの本来持つ能力をもっと発揮させてあげたいなぁと、こんな時思ったりします。

 そして家の敷地内に戻ってきました。私の頭に
「過保護はダメだよ。」
という棟梁の言葉がよぎりました。心を鬼にしました。離れのドアを閉めました。ミー子にはやっぱり居心地悪くても小屋で過ごしてもらおうと決めました。ミー子は何よりも可愛い。でもミー子の為に私がストレスになったり不快になるのは、いずれミー子も私も立ち行かなくなってしまう。自己犠牲で根本的な解決は決してできないと経験から信じているので、私とミー子の最適解を選択するというチャレンジです。

 ミー子は離れの前から動こうとしません。でも私はドアを決して開けませんでした。数分経って、ミー子が察したのでしょう。自分から小屋へ向かって走り出しました。元豚小屋の壁をひょいと超えて小屋の中へ。その走ってゆく後ろ姿をみて、切なさと罪悪感で胸が締め付けられるようでした。

 けれど、ミー子が小屋に入った次の瞬間、小屋の屋根と壁の隙間から首を伸ばして顔を出してこっちを見てくれました。
「私、大丈夫だよ。」
そんな表情に私は見えました。
『すごいなミーちゃん。やっぱり天使だ。』

 結局この台風の影響1週間近くありました。ミー子を小屋にやってから、雨や風が強まる度に、イライラ、ハラハラしてしまうそんな日々を私はすごしたのでした。


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