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重い腰をあげるしかない

 棟梁の思いつき小屋、広さは半畳程。ヤギ2頭が過ごすにはピタッと身を寄せ合う事になります。

 ヤー子はまだまだ警戒体制を敷いてます。私をはじめ人間はもちろん、ヤギのミー子ですら受け入れきってる感じではないです。ミー子がヤー子の背中に蹄でチョンチョンとちょっかいを出すと、すかさず頭突き寸前の威嚇。ミー子がヤー子に鼻を突き合わせて『ねぇねぇ』って感じでもやはり威嚇。

 ヤー子はミー子のポジションが気になるみたいです。ミー子が机の上で座ってると、そこをどけって感じでミー子を追い払って着席。食事の餌を籠に入れてあげるとヤー子は頭突きでミー子を追い払って独り占めを試みる。

 ヤギは群れで生きるので序列をはっきりさせる意味の行動をしばしば取るのだそう。けれど、私の偏見も大いに入ってると思いますが、ミー子はおそらく平和主義で執着が少なく臨機応変にやっているように感じます。ここの机がダメなら、もう少し端っこに寄る、もしくは少し離れたコンクリート土間に座る。ここの籠の餌を食べてるとヤー子にどつかれるなら、あっちの籠にさっと移動して食べるなど。視野を広めに持って切り替え上手さんです。

 けれど台風が来たら話は別。強風と豪雨を凌ぐスペースが、今のままでは半畳しかありません。ヤギ的ソーシャルディスタンスが保てません。おそらくミー子はヤー子に追い出されます。

 棟梁は元々ヤギは食べるか売る為に連れて来ました。また、野生のヤギは小屋無しで嵐を過ごすのだから、手厚い環境を作る気はサラサラありません。さらに、まだ貸主にヤギを飼育してる事は伝えてないようです。いつまでいるかも知れないヤギの小屋だの柵だのを建ててほしくないようです。確かに借り屋借り地に相談抜きで小屋を建てようとしている私の感覚がズレてて、到底認められる事ではないです。でも何となくやって良いようなゆる〜い雰囲気が離島にはあります(という事に私がしている?)。

 このような訳で、小屋増築に棟梁が力を貸してくれる気は無さそうです。

 ですが、仕事柄材料はあります。リフォームの為に解体して処分を引き受けた、柱・躯体・壁などに使える木材、穴が空いてるけどまぁまぁ状態の良いトタン、アルミサッシの雨戸、釘類、ビス類、そして大工道具。やれる状況は十分整ってます。

 後は私の勇気だけ。棟梁の判断や指示が有ればこそ大工手元をやってこれたけれど、今回は大工そのものをやる事になる、1人で、、

 なんてオズオズしているうちに台風ハイシーズン9月が来てしまう。

「やってみてらいいやん。」

大口取引先の社長さんが背中を押してくれました。

『そうだよな、、多少の失敗をしてしまっても、文句言われないし、弁償も出ないよな、、今までの仕事の復習にもなるわけで、、明日から棟梁しばらく本島に出るしな、、』

やる理由が私の中に満タンになりました。やっちゃいますか、、。
という事で、明日からは元豚小屋に堆積した土とゴミを仕分けながら外へ出すという地味で面倒な肉体労働からスタートです。

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