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20年かけてやっと分かった環状線で見た阪神ファンの気持ち

私は現在47歳。
今は恵まれた職場でゆとりをもって働いていますが、20年前は毎日残業で疲弊しておりました。
仕事帰りの疲れた体で大阪環状線に乗ると、明らかに甲子園帰りの阪神ファンを車内で見かけることがありました。

スマホがなくプロ野球の結果は帰宅するまで分からない時代でしたが、時に意気揚々と、概ねがっかりとした阪神ファンの背中は見てるだけで勝敗が予想できました。

仕事で疲れた後にわざわざ野球を見に行って、おまけに阪神が負けて更に疲れるって、何が楽しいんや?アホちゃうか・・・
野球観戦に熱中できる彼らは、私にとって理解不能で異質な存在でした。

ところが最近、そんな阪神ファンの気持ちを理解することができました。

我ながら不思議な心境の変化なので、理解するまでの過程を整理してみたいと思います。



10月14日からVリーグが始まりました。Vリーグはバレーのプロリーグです。

私はこの開幕の半年前、生まれて初めて推しチームができました。
そもそも誰にも、どのチームのファンにもなった事がない人生だったので、非常にレアな出来事が47歳の身に起こったのです。

私の推しチームは東レアローズ、静岡県三島市に拠点を置くチームです。
その東レが私の住む大阪府堺市で開幕戦を迎えることになりました。

Vリーグは10チームあり、堺に拠点があるのはブレーザーズだけ。
三島の東レがわざわざ堺で開幕戦だなんて、これはもう運命やな。行かなあかんわ、と都合の良い解釈をしてチケットを購入しました。

東レvsブレーザーズの試合は開幕戦を含め、週末二日間に渡って行われます。本当は開幕戦に行きたかったのですが、仕事の都合上、二日目のチケットを購入しました。

堺市がスポンサーなのでブレーザーズのホームゲームは、堺市民は自由席なら無料で見れます。しかし東レファンのプライドとして、私は堺市民の特権を使わず、ビジター側のアリーナ席を購入しました。

東レのパーカーも事前に購入し、開幕戦に備えました。
お金を払ってまで応援したい、この心境は私にとって未知の領域です。その頃の私はそんな自分に酔って、少しハイになっていました。

開幕戦は1-3で東レが負けました。

いくらアウェイとて、東レは開幕2連敗を避けたい。
私も当然東レの勝利を願うのですが、今シーズン初勝利を目撃できるのなら、それも良いなぁ〜と、浮かれモードで当日を迎えます。

開幕二日目。
暑いと思いつつパーカーを着ていざ会場へ。

結果はまさかのストレート負け。東レ開幕2連敗です。

競って負けた、というより全てにおいてブレーザーズが東レを上回っていた気がしました。

ブレーザーズは1ヶ月前に見たプレシーズンマッチより数段良かった。渡邊選手も勝利に貢献してたけど、エバンス選手の決定率はエグかった。

調子が良かったブレーザーズに対して、東レは日本代表の健太郎選手&富田選手の不在による戦力ダウンは否めず、加えてアウェイであることも不利に作用したと思います。

応援していた方が負ける、これは何度も経験してきた事です。

今までと違うのは、推しチームが負けたということ。

家族や知人が出場しているチームが負けても、私は試合までの過程と努力を讃えていました。
相手への労いの言葉の最後は「・・・でも良い試合だったよな」で締めていたと思います。

「いい試合」って難しい

東レのメンバーに知人が入れば「良い試合だったよ。健太郎選手と富田選手がいないのによく頑張ったよ」と伝えたかもしれません。
家族や知人なら相手への思いやりを持って、敗戦後は寄り添っていたと思います。

でも、今回は違うんだよなぁ。

東レの選手が荷物を持ってコートを去る姿を見て、うぉい、頑張ってよ!と思いました。
不利な状況でも負けは負け。ただ勝ってほしかった。これが純粋なファン心理なんですね。

こんな直球の感想を大声で言う人はバレーの会場ではレア

言葉を交わした事もないくせに勝手に応援しているファンという立場は、えらく図々しいモンだと我ながら思いました。

もちろん勝敗があるスポーツですから、負けを認めない訳ではありません。
ただ、その日の試合に関しては、東レはセット毎に改善できる点があったと思うし、勝ちに対する気迫が私には感じられませんでした。

自分が試合で不甲斐ない場合は、慰めなど要らず、準備不足を反省するだけですよね。ファン心理はこれによく似てる。

私が好きな応援のスタイル

つまり、ファンはチームの事を自分ごととして考えている、そんな感じでしょうか。

自分ごとだから思い切り喜んで、カッコ悪いほどストレートに悔しがる。そう考えると、20年前に見た阪神ファンの存在が腑に落ちました。

今の私なら、どんなに疲れてても仕事後に試合を見に行きたいよ。

ファンってこんなに大変なのね、そして面白い生き物。

まだまだ続くリーグ戦、一喜一憂を楽しみたいと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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