「女だから」という理由で絡んでくるな

 どうでもいい話ですが、昨年の引きこもり生活によって美容のモチベーションが上がった私は、数年前よりもずっと自分の外見に気を遣うようになりました。別に異性にもてたいとかかわいがられたいとかいうわけではなくて、自分の好きな外見に近づけたら、自分の振る舞いにもっと自信を持てるかもしれないな、と考えてのことです。結果、数年前に比べればだいぶ落ち着いた外見になったわけなのですが、それは思わぬ望まぬ副産物をもたらしました。

 それは、「ナンパされる機会が増えた」ことです。「自慢か?」と思われる方もいるかもしれませんが、私はこのことを非常に不快に思っています。

 深夜にひとりで散歩していて(深夜なのは生活リズムがくるっているのと、夜中の方が人が少なく落ち着いて歩けるからです)知らない男性から急に声をかけられるのは、私からするとどうしても警戒せざるをえないものです。私が普段どれだけ鍛えていようが、敵わない可能性は常にあるので。声をかける理由が本当に道に迷ってしまって帰宅困難で困っているとかだったら別にいいのですが、そうではないパターンにしかいまだに遭遇したことがありません。残念ながら。残念過ぎて「残念なにんげん図鑑」つくりたいくらい。

 深夜に1人で道を歩いていることと男性に対して興味があるということは等号で結べるわけではないのに、そのような目的で声をかけられることは大変不愉快です。しつこくずっとついてきて話しかけてきて、どうにかホテルに連れて行こうとするのはなぜだい。「うるせぇ、俺がお前の好みであっても、お前は俺の好みではねぇんだ。引っ込んでくれ。帰れ!家に!」と心の中で憤怒しつつ、「申し訳ないですが、あなたとご一緒するつもりはないんですよ」と丁寧にお断りします。お断りしているのについてくる。日本語で話しているのに言葉が通じてないね? 深夜に1人で歩いている女のみんながみんな、お前と褥をともにしたいと思っているだなんてはなはだしい勘違いだぞ。義務教育受け直してもっと国語表現と人権について勉強しな?

 で、同時にこうも思うんですよね。

「私の身体的性別が女でなければ、こんな風に話しかけられて、しつこく付きまとわれることもないのだろうな。この人はただ、私が女であるというだけでこんなに絡んでくるんだろうな。男になりたいとは思わないけれど、女であることを早くやめたいな。」

 望んで得た性別ではないのに、そのせいで人生損している感が否めません。女であるというだけで、日常生活に支障が出る。夜道は常に警戒しながら歩かなくてはならないし、セクハラ発言も行動も逆上されると危ないから笑ってやり過ごすしかないし、様々な発言の裏側に勝手に女性蔑視を読み取ってしまうし、おしゃれとは異なった意味で服装に気を使わなくてはならないし、かといって「女性らしさ」のない外見は陰でたたかれ邪険に扱われる。で、なぜか生涯年収は低く、貧困率は男性に比べて高い。こんなにも様々なことに気を張って生きているのに、なぜ得るものは少ないのでしょう。悲しいね。

 私がこうも不満に思っているのは、これ等の状況は人々の意識や行動次第で改善されうるものであるのに、「仕方ないことだから受け入れて」となだめすかされることがよくあるからです。知らない男性に絡まれ、驚きと恐怖の中で警察に通報すれば「それはナンパじゃないですか?(そんなの気にしなくていいんだよ)」と電話口に対応され、知人に「男は夜中も安全に道を歩けるというのに、女はそうはできないのは不平等だ」と愚痴れば「仕方ない」となだめられる。

 え、何も仕方なくなくない?????? その辺を歩いている男に夜中に急に声をかけないだろ、、、なぜ彼らの異常な言動を「正常」「仕方のないこと」で赦そうとしているの? 現代にはマッチングアプリという文明の利器があるのだから、どうかそちらで相手を探してほしいですよ。※世の中にはナンパを喜ぶ女性もいるので、それを見分けるのは難しいですよね。

 なぜ人に付きまとい迷惑をかけることが許されるのか? そのようにして相手の時間を奪うことになぜ罪悪感やためらいを覚えないのか? 140字で納得できる釈明をしてみなよ。無理だと思うけど。

 そうそう、あとナンパ師のサロンなるものが世の中にはあるようで。女性を連れ込むハウトゥーをSNSで発表している人もいたりするのですが、そういうのも読んでみると、女性を貶して心を開かせるというのがよくあって、あまりの不快感に語彙力を失った私は「は、きも、、、」とだけ思いましたとさ。それで惚れる女はおらんぜよ、とも思ったけれども、そもそも彼らも恋人がほしいわけではないことが多いようだから、まぁ目的のために取っている手段は間違っていないと言えば間違っていないのかもしれない? 道徳的、倫理的観点から言えば、よく後悔し反省しなさいという感じですが。

 女性のみんながみんなそうなのかは知らないけど、少なくとも私はお前らの都合のいい遊び道具ではないのだわ。「1週間だけ俺を彼氏にしてくれない?」とか、その1週間の間に私がお前に割く時間はコンマ1秒たりともございませんよ。

 女にだったら何を言ってもいい、何をしてもいい。なぜならあいつらは取るに足らない劣った存在だからだ。所詮は人間以下の道具に過ぎないのだから。無意識のうちにそういう価値観が刷り込まれ、それが言動に現れているということなのでしょうね。「女だから」、夜道で絡まれても仕方ないとか、セクハラされても仕方ないとか、別に何も仕方なくないですよ? 心がけ次第では改善されるものを、「仕方ない」の一言でかたづけないでほしい。同時に、そんな「彼ら」とひとくくりにして認識されうる状況にあるということにもっと敏感になり、怒りの声を上げたっていいのではないか? そのへんの痴漢やナンパ師や性犯罪者と同列に扱われていることを何とも思わないの? 「すべての男がそうではない」と口では言うけれど、それは外見からはわからないこと。「仕方ない」と思い言い続ける限り、同類だ。今すぐには全てが変わるということはないから、現段階では「仕方ない」のだとしても、これからもずっと「仕方ない」で済ませることができるわけではない。

 相手が「女だから」という理由で何かをしてしまいがちな人々、今後はお気をつけくださいませね。性別が何であるとかいう以前に、ひとりの個性を持った人格、人間であるということをもっと見てほしいです。

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