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映画 ジョーンの秘密

今日は映画ジョーンの秘密(原題 Red Joan) の感想をネタバレなしで書きます。

これは、実話を元にした話です。

英国でばあばスパイと呼ばれた人物にスポットを当てながら物語が展開されていきます。回想シーンと現在のパートがたまに行き来します。

当時の戦争は、あちこちの国がスパイを使った”スパイ戦“の色合いが強かったという人もいます。

当時のトレンドは、核開発競争となっていて、こういった技術開発競争にはスパイもつきものなんだろうと理解はできます。

核開発とは言わずとも、今まででも技術を流すスパイの話は良く描かれています。

スパイも人である事は確かなので、何を考えて国の命令に従っているのか、もしくは何かの信念を元に情報をリークさせるのかが大変興味深いです。

まあ、ここら辺の事は真に語られる事はないかもしれないし、本当の所は全然分からないとは思います。

ただ自分の母国にある意味背き、情報をリークしたりするスパイ行為は多いにあり得るのではと思いました。

本来ならば、自分の生まれ故郷が不利な状況になる事は好ましく思わない人が多い。しかしながら、反対勢力の為に働いてしまう人は必ずいたと思うのでそれは非常に無視できない問題と思いました。

ただ、一つ言える事はやむ終えない事情からスパイ行為を働かなければいけなくなった人間以外は、なにか信念のようなものを持って行動している事は確かに思います。

しかし、戦争下にある状況では、その信念というものが最も難しい。

そもそも各国が、人としての理念などは置いてきている状態、異常事態な訳ですからどの国が正解などとはかなり見えにくい。

皮肉な事に、その点は平等なのではと。。。

それに人道的な考え方など持っていない場面が多々あるのが戦争という状況下なので、どの国の行動が正しいなんてものはないと思います。

そんな甘い事を言っていたら、やられてしまうと思いますから、、

私は亡くなった祖父からたまに戦争の事を聞いていました。彼はとても優しい人でしたが、戦争時は長男でないという理由で激戦地に派遣されていました。その証拠として、撃たれた際の銃弾が身体の内部に残ったままでした。

急所だった為に取り除けず、度々痛みに苦しみながら生活しているそんな人間でした。

”自分は何人人を殺したか分からない、とても若い家族を持ったばかりの兵士に眼をジッと見つめられて命を乞われた事もあるけれど容赦なく撃った。“

”もし殺さなかったら自分がやられると思った。何も信じられなくて、恐ろしくてそれだけで容赦なく撃った。“

”今でもあれが正解だったか分からないし、良くその若者が夢に出てくる“

と良く話してくれて私はとても印象に残っていました。

”もし自分じゃなくてあの子が生きていたら、今どうしてたんだろうな“

とかそんな事も話していた事があり私は聞くたびにとても心が締め付けられる想いがしました。

国同士の様々な理由はあれど、どの国でも戦っている人達にはそれぞれの人生が(青春が)あったはず。

その貴重な時間を、費やしているという事実は確かで、片側が完全に正解などとはなかなか言い難いと考えます。

戦争中の映画を観ていると、私が最も尊敬していた祖父の事をいつも思い出してしまいます。

彼は、いつも何が価値があって大事なものかを私に教えてくれた人物で今でも私にとって偉大な人物です。

とても不器用で無口だったし、頑固者だったのであまり周囲から理解されない事も多かったけれど私はとてもおじいちゃんが大好きでした。

その気持ちが通じたのか通じていないのかは分からないけれど、良く色んな事を話してくれたんです。戦争の話も含めて。。。

今この時代に彼が生きていたら、どんな事を言うだろう。会って話したい、、と叶いもしない事を最近どうしても考えてしまいます。

そういえば、彼は実家が家具を作っているものづくりを愛する人間でした。

その積み上げてきたものは、戦争で全て奪われ持っていた資産(土地など)は国に取られてしまった。とその場所を案内してくれた事もありました。

滅多に人の悪口を言わない彼でしたが、その時は口に出ている事を聞くとトーンから本当に憎んでいるんだなという事も分かりました。

働き者で、晩年は技術があったので大手メーカーに勤めていたのですが、たまにポロッと愚痴も溢していました。

“本社のお偉いさん達がいる場所で、威張って黒塗りの車で乗り付け見せびらかしてやったらどんなに気持ちいいか”

“それで、思っている事をぶちまけてやれたらどんなに良いだろうか…。”

とも、、

私は子供だったのでおじいちゃん怒ってるなくらいしか分からなかったけど、今ではその意味が理解できています。

どうしても、戦争の話を見聞きすると大好きだったおじいちゃんが頭に浮かんでしまいます。

ちょっと話がずれてしまいました 笑

この映画を観ている時に感じた事の一つとして、ものづくりや科学ってなんだろう?

という事です。

残念ながら事実として、今ある技術は戦争によって発展してきたものも多い。

言い換えると、今ある素晴らしい技術革新の種は全て戦争利用できてしまうんです。

証拠として、軍事技術を追うと最先端技術が非常に良く分かり面白い程に感じる事もあります。

科学技術も利用の仕方によっては、良くも悪くもなってしまう。それは心苦しくもあります。

この映画で言えば、核物理学がそれに当たるでしょう。しかしながら、各国が本気を出して(予算を出して)取り組んだからこそ発展もした訳でその部分は否定はできません。

物質の根源を知ってその挙動を解明していく、科学の基礎といった部分がどれだけ発展したか分かりません。

そういったものは、オープンソースとして扱うべきだという事も決して不正解とは言い切れない訳です。

それは世界をどう捉えるかの問いと同じであり、人によって違う。正解が絞れない事と思います。

この映画の作り自体は、少々脚本に穴があると感じたので最高の出来ではないと思います。しかし、こういう核競争があったという事実が映画にされている事は意味ある事なので良い作品と私は思いました。

それに戦争の事や技術の事など色々考えました。

女優さん達の演技も上手でそれを観ていても違和感なかったです。当時を表現した衣装なども雰囲気が出ていて私は好きでした。

スパイ物は当時の社会情勢を反映しているものも多く、この映画もその一つとして鑑賞してみてはいかがでしょうか。

他にも映画レビューありますよー!

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