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翻訳は奥が深い

少し前にAmelia という翻訳コミュニティでの定例トライアルの解答例が雑誌に混載されていたのでいつも通り確認した。

このコミュニティで毎月行われる定例トライアルとは、その月毎にお題が決められそれを翻訳するもの。

すると簡単な評価が付けられて結果が返ってくる。しかし詳しい添削はない為にこの解答例が唯一の判断材料となっている。

自分の訳文と解答例を照らし合わせて違いを確認する事で発見出来ることもある。

今回、私が解答を確認したものはノンフィクション。

どんな文章だったかといえば、日本の住宅様式の話だった。

だから住宅様式が固有名詞で記載してある箇所があった。しかもそれは英語圏特有の表現で日本語に簡単に変換できないものだった。

恐らくは、英語圏在住のネーティブスピーカーが日本特有の建築様式をシンプルにイメージし易いように固有名詞を使ったのだろうと想像できる。

しかし、当然ながらそんな名前の建築様式は日本語には到底無い訳で。。。

どうして固有名詞でなく文章で説明しないのだろうか?とも思ったが雑誌に混載された文章との事なので字数制限もあり工夫してこういう固有名詞を使ったのかな?とも考えられる。

後から冷静に考えたら書き手側の状況やどうして英語圏特有の固有名詞を日本の事を説明するのに用いるのだろうか?という理由がスッと理解できた。

だけど問題は、翻訳している時にこういう書き手側の工夫やどうしてその語を選んだかの想像まで出来ず単語の訳を探して頭を悩ますという柔軟性の欠けた作業に出てしまった自分がいた事。

当然ながら、日本語でそれに当てはまる訳なんてないのでそのままカタカナにしてしまって違和感ある文章になってしまった。

この文章は固有名詞が他にもあり、その部分にも配慮が必要な感じの文章だった。

次からは繰り返してこういうミスをせずに、気をつけて書き手側の状況や書いている時の気持ちや背景なども少し考えてから訳そうと思った。

出典はいつも見ているけれど、それだけではなくその作者自身や状況などについてももっとリサーチすべきと思った。

作者の気持ちに近づけば近づくほど、自然な訳が出来るのは当たり前。

まずは全体をみて、どうしてこういう書き方をしているのかどうしてこの単語をチョイスしたのかとか意識して想像する。

それぐらいの時間的そして精神的余裕を持って翻訳に当たらないとダメだなと学びがあった。

翻訳は今やAIにとって替わると言う人もいる分野だが、始めてみるとかなり奥が深い分野という事が分かった。

単純に単語の変換をするだけであればかなりの精度の物まで出来てきていてすごいと思うけれど、どうしても細かい配慮や背景そして作者に寄り添う事まではAIではまだまだ足りていない。

ここは人でなければ難しいと思う。

それに翻訳はただ訳するだけでなく、それよりはリサーチの方が時間的に多い仕事だとトライアルに取り組むうちに理解できた。

知っている単語でも注意深く何度も意味を調べ、文脈や状況を判断してどの意味を選ぶか考える必要もある。

英語圏特有の表現であれば、それを英語圏の感覚と日本語圏の感覚でどうやって擦り合わせるかも必要。そしてその逆も然り。

なので結構手間と時間をかけなければ出来ないのが翻訳と分かった。

知らなかった世界が分かることもあって知的好奇心が刺激されて楽しい。それに加えて、言葉の選択をするのにこんなに奥が深いなんてと色々トライしているうちに気付いたのが本当に良かった。

翻訳は奥が深いと分かったと同時に、言葉はすごく奥が深いなあという事もひしひしと感じる事が出来て良い経験をしている。

定例トライアルで腕試しは続けていこう!

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