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お勧め洋書 The Giver

洋書は読んだ事ありますか?

私は洋書を読む事も好きで、時間を見つけては読んでいます。

洋書も自然と英語に触れるとても良いツールで、日常的に手にしていれば英語慣れに非常に役立つと思います。

しかし、急に長い文章や難解な単語。高度な比喩がぶち込まれている作品を手に取ってしまうと、洋書の文章に触れる楽しみからの英文の奥深さまでを楽しむまでいかずに読む事が嫌になってしまう可能性が高いです。

なので、洋書に慣れるまでは対象年齢が低いものから高いものへ徐々に上げていく事が良いです。

その観点からいえば、児童文学書もお勧めです。

ただ問題は、大人が読む場合にあまり内容が子供向けだと頭が大人の思考になっているので、それはそれでつまらないなあと思ってしまう確率も高い。

だから内容が濃く、簡単な文章でも奥が深いテーマを扱っているものが良いと思います。

そんな洋書としてピッタリなのが、The  Giver という児童文学書です。

作者はアメリカ出身のLois Lowry(ロイス・ローリー)さん。

このThe  Giverという作品で最も優れた児童文学作品に贈られるニューベリー賞という賞を受賞されています。

そのためにこの本自体は割と有名です。

この原作をベースに2014年に映画もリリースされているので、それを観てみるのも良いと思います。

私はこの本も好きだけど、映画も好きで
DVDも持っています!

簡単な筋書きは、完全に管理社会にされたコミュニティの話。いわゆるディストピア物です。

ここでは、差別や争いが起こらず平和しかない世界。しかしそうする為に、人々は知識と感情が奪われています。

感情や知識がそもそもないから、苦しみや怒りの概念がないんですね。

あらゆるリスクは取り除かれ、苦労はありません。なぜなら産まれてからある程度の年齢になれば特性を見られ職業もあてがわれる為です。

そんな中、私が思うにこのコミュニティでの“はみ出しもの”とみなされた人は一切他の人々の様な職業とは異なった The Receiver と The Giver に任命されるんです。

receiver は受け取る者
giver は与える者

という名詞。

The がついているのは、彼等が唯一の存在であると強調するためでしょう。。

話は主にThe Receiver の少年がThe Giver の老人から与えられていくという物。

この世界では、これまでの文化的や歴史的な概念が消去されているんです。書物さえコミュニティ内では読む事ができませんから、、

そんな中、文化的や歴史的な概念を伝える役割としてThe Giver が、そしてそれを受け取る役割としてThe Receiver が選ばれているんです。

このコミュニティと彼等は対極的な状態にある。

読み物を読む機会がない。歴史を知る機会がない。

で、あれば自分以外の人々の人生や感情を想像する能力が欠如していくそれは当然の事。

感情を感じなければ、取り乱す事はない。

なぜなら人は必ずどす黒い感情があるからです。それは怒りや悲しみそして憎しみなど。

しかしながら、それらが取り除かれれば同時に愛情や哀しみも感じません。

もちろん、芸術なんてものは分かるわけがありません。

音楽を聴いて感じたり、絵を見て背景から想いを巡らし感動する。

そういう感情そのものさえありません。

それはどんな社会なのかといえば、大変に管理しやすい整えられた社会なんです。

だけど、それは本来あるべき人の自然的要素が一切排除されている状態。

人は良い部分と悪い部分がありそしてそれらが混ざり合い本来であればグチャグチャとしているものです。

そしてそんな個が集まり合い形成されているのが、人間世界な訳です。

これが善でこれが悪と区分し、排除する。

それは本来は自然的概念から大きく離れているものなんです。

そういう本質に触れる事が、芸術であり文学である。そういう側面さえ捨て去っていいわけがないです。

このコミュニティはかなり特殊ですが、意識的か無意識的かは分からないですが、こんな未来を描きたい人は一定数いるのでしょう。

この本を危険と捉え禁止する学校がアメリカにはあるそうです。

今のいきすぎた言葉狩りやポリコレ、そして度々起こるキャンセルカルチャー。

アメリカだけではない、日本でもこの傾向は見られると思っています。

いき過ぎた同調圧力や空気を読めと強制する大きな雰囲気。

そして、本を読まない人が増え知識が希薄な人が多く流される様に生きている。そういう層は当然ながら、音楽や絵画などの芸術的価値など分かるわけもない。そんな人が増えています。

相対的価値観で人を見て違えばそれをとやかく言う。中には平気で悪い事を言う人がいる。そもそも相手の立場に立つ想像力がないからです。

この小説のようとまではいかないけれど、そういう風潮が所々で起こっています。

みんな違ってみんな良い。

そんな事もこの小説で改めて思ったし、人間らしさについても色々思いました。

そんなに難解ではなくシンプルに書いてあるのに、よく表現されていてとても好きでした。

この本は児童文学書でありますが、大人もぜひ読んで欲しいお勧めの本です。

紙媒体もKindle版もありました!

そんなに分厚くもないので是非読んでみて下さい!!


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