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映画 家をめぐる3つの物語

今日は、Netflixで観る事ができるアニメーション映画『家をめぐる3つの物語(原題: The House)』のネタバレなしレビューをしたいと思います。

これは、アメリカ制作となっていますが、作品全体の台詞はイギリス英語なのと笑いのセンスが英国風のダークコメディで皮肉を効かせたものになっているので、台詞からイギリスの雰囲気を感じたい人にもお勧めの映画です。

イギリス英語の聴き取り練習にも最適な作品と思います!

アニメーションの雰囲気もストップモーションアニメなのでキャラクターの動きが独特でそこに面白さがあります。

この作品、題名のとうり3つの家をめぐる物語を三作に分けて見せてくれているし、各作品違う種類のキャラクターに焦点を当てているので飽きが来なかったです。

1作目は家主、2作目は売主、3作目は大家視点と移り変わっていく、それが各作品ごとに個性をつけていて良かった。

全体的な雰囲気は薄気味悪くて皮肉があちこちに効かせてあるので完全に大人向きな映画です。

この映画の素晴らしいなあと思った点は、キャラクターと視点が移り変わっているのにも関わらず、作品の芯がちゃんと通っている点。その為に3作通して伝えたいメッセージが一貫しています。

これは最後のエンドロールに流れている曲の歌詞にあるフレーズ

“A House is nothing”

という事でしょう。

“家なんてどうでもいい”

という事がこの作品全体で伝えたい事と理解できました。

この作品は、生き方に通じる大事なテーマを伝えたかったから制作した映画と観ていても分かり私はすごく気に入りました。

要は、自分がいる場所などに拘っても自己が無ければそれは無意味な事と同じという事です。

何も残らない。空っぽで無価値なんだ。

とのメッセージ性がありました。

1話目は人の家の引っ越しが描かれています。

新しい豪邸に引っ越す前の家族は狭い家に住み貧乏暮らしでした。だから、この家族はめちゃくちゃ良い暮らしに憧れているんですね。

もっと良い家に住みたい!

というがある。

しかしだんだんその欲に自ら呑み込まれていくんです。子供は純粋な心があるのでそのままですが、、

自己がないので、その家そのものに感化されて何が何だか分からなくなっていく。自分がどんな人か分からなくなっていくんです。

こういう過程が気味が悪い画で上手に作り上げられていて良かった。

2話目の主人公は、家を売っているネズミさんです。

この家、最新の設備もあり素材も抜群!

でも、駆除しても駆除しても沢山の虫が湧いてくるんです。

このネズミさんは売り出す前の内覧会前に必死で退治するんですが。。。という話。

これは虫嫌いの人は鳥肌ものでホラーなんじゃないかと思うくらいの悪趣味な画のオンパレードで、あまりに酷いシーンも多くてそれに思わず笑ってしまいました。

ダークユーモア満載の雰囲気なので虫が平気な人は観る事をお勧めします。

これもテーマに沿っていて、入れ物が素晴らしくても内面があるか分からないという例えと思いました。

場所というのは、住む人により変わるんですよ。如何様にも。

だから家は重要ではないという事です。

物欲まみれな人達をターゲットに売り出そうとすればそういう人が集まるという話。

そして立派な家であれ、荒れ果てていきますよという話です。

ま、虫けらも人も同じだよ!

と作者は言いたかったと思いました。

3作目はちょっとだけメルヘンチックで猫ちゃん達が繰り広げる世界観です。

主役は、家賃集めに奮闘する猫さん。

大家さんなので、家の修繕の事でも大忙し。

みんななかなか家賃を払ってくれないのが悩みです。

家を借りている方達もみんな猫ちゃんで面白い。

自由気ままで、思い通りに生きています。
だから家賃も払わんし、金ではなく自分の価値あるもので支払おうとします。

でもこういうシーンも考えるとなかなか深い。

金というのは人が作った概念だからです。

だからただの塊や紙切れで価値あるものではありません。

信用取引として相互に行き渡るからこその価値なんです。

元々は物々交換の時代もあったわけだから、お金の価値はその程度というのが根本的に立ち返れば正しいんです。

これが家にも当てはまる。

価値がないものを価値とみなしてしまい、その観念が固定化された時点でその家が崩壊しそうでも気づかないんです。

自由気ままに生きている猫達の方がある意味、自分に大切なものや生きていく際に大切な繋がりというものを知っているのかもしれません。

自分に大切なものが他人が決めた本当でない価値観であれば、そんな物はないのに等しいんです。

金も家も同じって事…

このアニメーション3作品を一つにした『家をめぐる3つの物語』は雰囲気とキャラクターの個性がいい。そして、とても大切な、人の価値や生き方について家を中心にして描いてくれているとっても良い良作でした!

お勧めです!!

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