NFTのクリエイターロイヤリティ問題、その後。(2022/12/3最新状況)
11月初頭、OpenSeaが「発行済のコレクションに対してロイヤリティを発生しない」という方針をだしたことを発端に、大きく議論を呼んだクリエイターロイヤリティ問題。
1ヶ月経ったいま、結論としては「ロイヤリティは引き続き発生する」という方向に落ち着きつつあるようにみえます。
これまでの流れを時系列でみていきましょう
①AMM型(DeFiのような自動取引)でロイヤリティを発生させずにNFTを取引できる「SudoSwap」の登場
②NFTマケプレ「X2Y2」「Blur」がロイヤリティをスキップ可能に
③取引量が減少したOpenSea、特定のマケプレをブラックリストに登録する新コントラクト「Operator Filterer」を発表
◎今後販売するコレクション
このコントラクトが含まれないとOpenSeaでのロイヤリティが発生しない
◎既存のコレクション
期間を設け、それまでに対応しないとロイヤリティが発生しない ⇒ 猛反発にあい後日撤回
現状をまとめると以下のような状況となります。
■その後
OpenSeaの対応をうけ他のマーケットプレイスが方針変更を発表
X2Y2 ⇒ 一転して「すべてのコレクションでロイヤリティを発生可能」に。OpenSea発表したコントラクトを導入するコレクションが増えるならコードは法律である、として反転を余儀なくされました。
※ちなみにX2Y2でロイヤリティを発生させるには、コレクション側でX2Y2にて個別設定が必要です。X2Y2で取引されているにも関わらず、ロイヤリティを逃している日本発のコレクションも多く見られます。設定はこちら
BLUR ⇒ ロイヤリティを強制できるコントラクトを発表。
導入すればOpenSeaとBlur両方でロイヤリティを強制可能になると提案。しかし既存のコレクションは、引き続きトレーダー側の選択性となりロイヤリティをスキップ可能となっています。ただ、BLURもロイヤリティのスキップを推奨している訳ではなく、ロイヤリティを設定するとエアドロップが多くなる仕組みとなっています。
BLURの仕組みと詳細については、こちらのnoteに記載しました
LooksRare ⇒ マーケットプレイス側の手数料を一律2%に設定。その中から0.5%がクリエイター/コレクションに支払われる形式としています。ただし、ロイヤリティ設定を含むコントラクトEIP-2981を含むコレクションはコントラクトに記載されたロイヤリティが支払われます。
■各マケプレの影響力を取引量でみてみましょう
12/2の取引量です。依然としてOpenSeaが首位ではありますがBLURとx2y2もシェアを伸ばしており、もはやOpenSea一強とはいえない状況です。SudoSwapやLooksRareは手数料/ロイヤリティとしては二次流通の出品者側に有利ですが、あまり利用されていません。
以下は9月から現時点までの取引量推移。オレンジのBlurがシェアを伸ばしています。OpenSeaの新コントラクトのコレクションが取引できなくなりましたが、まだ大きな影響は感じられません。
■ロイヤリティ問題、これからどうなるのか?
X2Y2がロイヤリティのスキップを不可にしたことで、ロイヤリティが発生する世界に近づいているように感じます。手数料の面で有利に出品できるとしても、購入者が集まるマケプレでなければ使われることはありません。
新コントラクトを導入しない場合、OpenSeaでロイヤリティが発生しないので自然とこれからリリースされるコレクションは、OpenSea新コントラクトを導入していくでしょう。それが中央集権化しているとの批判もあります。
また、ApeCoinがBAYC独自のNFTマケプレをローンチしたりと、NFTコレクションごとに取引機能を持つという流れもできてきました。
一方、SudoSwapの大本であるUNISWAPがNFTアグリゲーター機能の提供を始めました。現状ではほとんど使われていませんが、ロイヤリティをスキップできるSudoSwapの躍進に繋がる可能性はあります。
ETHではなくsolanaのほうでも、ロイヤリティについての新しい仕組みが提案される動きがありました。
■さいごに
先日、OpenSeaからクリエイターのロイヤリティが11億ドルに達したと発表がありました。FBやTikTokiなどのクリエイタープラットフォームよりも大幅にクリエイターに還元できているとのこと。
これまで、クリエイターへのロイヤリティがあることによってNFT市場が伸びてきたという状況は忘れてはならないと思いました。
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