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脱ぐノオト。#002/8月のライオン

こんにちは。
みーこノオト。です。

早いもので9月ですね。
秋の気配を感じる瞬間に出くわすことが増えてきました。

8月を振り返ると、
世間はライオンズゲートで盛り上がったような気がします。
同月中に満月が2回も訪れたり、
そのうちの1回がスーパームーンだったり。

天体に想いを馳せながら、
私は、暫くの間、深海に沈んでおりました。

特にライオンズゲートが開いている期間、
8月上旬のことです。

その頃、何故か気持ちが大きく沈んでしまい、
どこにもいたくなくて、どうしようもなくなって。

そして、私は、
衝動的に、導かれるように、
ひとりで実家に向かいました。
(夫には、「家出」と称されました。)


実家に着くと、母は私をそっとしてくれました。
子供達を連れて行かず、ひとりで帰省するのは初めてだったのです。

夏野菜に溢れた家庭菜園。
茣蓙が敷かれたリビングと扇風機。

傍に鎮座するソファーにどさっと横になり、
蝉の声を聴いていたら、
意味もなく涙が溢れてきました。

探していた写真がありました。
最後の家族旅行の写真です。

モノクロの「写ルンです」で撮った両親の姿を、
かつての私の部屋で見つけたら、

またもや内側から何かが溢れて、
床にポタポタと水音が鳴りました。

父が亡くなったことに対する悲しい気持ちを、
四半世紀もの長い間、
引きずってしまったのだと感じました。

しばらくすると、その部屋の中に、
16歳の私が隣にいるような気がしました。

「本当は悲しかったよね。」

ひとり呟き、
想像の彼女を抱きしめてみたら、
彼女は泣いていました。

その夜、母は、私のために、
私の好きなインドネシアの郷土料理を作ってくれました。

夏という季節とそれは、奇跡的なコラボレーションを遂げて、
一瞬にして、私をうんと子供の頃に、連れ戻してしてくれました。

私が、「本当の」私だった頃に。

当初はその日のうちに自宅に帰るつもりでしたが、
帰りませんでした。

その夜は、泣きつかれたのか、
ぐっすりと眠ることができました。

闇夜は、穏やかに、静かに、
私をもっともっと深海に連れていきました。

でも、ちっとも怖くはありませんでした。

陰が大きくなるほど、
陽が大きくなっているさまを、
心で感じとっていたからです。

実家から帰ってきた後は、
私は、「本当の」私を喜ばせることに専念しました。

会いたい人に会いに行ったり、

行きたい場所に行ったり、

泊まりたい場所に泊まったり、

食べたいものを食べたりして。


それは同時に、
直感を研ぎ澄ませることにも繋がりました。

1か月間かけて、じっくりエネルギー補充をした私は、
文章以外のかたちで発信することに挑戦しました。

「40代以降をどう生きるか」をテーマにして、
ゲストをお迎えしたインスタライブでした。

そのころには、深海の暗闇が嘘のように、
燦燦とした太陽の下にいました。

深海の中で固く閉じていた貝殻を開けてみると、
そこには美しい真珠が一粒キラリと光っていました。



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