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「お前などちょっと仲のいいだけの友達だ」①

彼とは結局、約6年間付き合った。
私は20代だったのが、別れる時には30代になっていた。
そして彼は別れる時50代だった。

タイトルは、彼と別れる少し前に、彼に言われた言葉。
泣く私を、死にかけて動き回る気持ちの悪い虫を見るように、ウザったそうな目付きで眺めていたのを思い出す。

彼と出会う前、付き合っていた人がいた。
実は、彼の前に付き合っていた人の方がヤバかった。
ヤバさのベクトルは違うから比べられないけど、やっぱりやばすぎて、ここには書けない。
そいつにボロボロにされて、やっとの思いで別れたが、タイミング悪くいろいろな悪い出来事が重なって、判断力がおかしくなっていたとしか思えない。
でもそれは言い訳で、もともと私自身、男を見る目がないのだろうな、とも思う。

知り合いの知り合いとして出会った彼に一目惚れに近い感情を抱き、とにかく彼にアプローチし続けた。
彼は、今は懐かしいとあるSNSコミュニティを利用しており、その中の「飲み会」コミュに参加しており、幹事に近い立場のメンバーだった。
私は、彼に頼んで、彼の知り合いだということでその飲み会コミュに入れてもらい、コミュ障で人見知りの癖に、頻繁に飲み会に参加した。
彼に会いたいがために。
泣ける。

そして同時に何度も彼を誘い続け、やっと二人きりのデートが出来る事になった。

そのデートの待ち合わせの時にいきなり怒鳴りつけられた。
通常の人間なら、そこで関係をやめるのだろう。
あ、無理だ。って。
でも私は、必死で彼を追いかけて、謝り続けた。

この時は、彼を怒らせた自分が悪い、謝ってなんとか機嫌を直してもらわなくては、デートを続行してもらわねばと必死だった。

怒鳴られた原因は、私が待ち合わせ場所を間違えたから。
さらに、彼がいることに気づかず、探し回り彼の前をスルーして先に行ってしまい、追いかけてきた彼が、後ろからありえないくらいの大声で
「おい!!!どこに行くんだよ!!!」と叫んだ。
私は、まさか怒っているとは思わず
「あ!いたの!?ごめん!場所間違えた!」と笑うと、
今まで見たことない怖い顔で
「自分勝手にするな!待ち合わせは○○だと言っただろう!」と言いながら、すごい早足で歩いて行ってしまった。

彼がお店を予約してくれていたと後で知った。
予約の時間が迫っていて、それでイライラして怒ったのだと思う。
私が彼を追いかけて、腕を掴んで、
「ほんとにごめん!ごめんね!機嫌なおして!謝るから!本当にごめんなさい!」
と、すれ違った通行人が目を丸くして見てくるほど、なりふり構わず必死で謝った。

店が見えてきて、それまで、腕に縋る私なんか居ないみたいに黙って怖い顔でスタスタ歩いていた彼が、急に歩調をゆるめ、
「まあ、美味しいものを食べれば機嫌も直るさ」
と言った。

予約の時間に間に合うとわかったからだと思う。

だから、この初デートでは、私と会うことではなく、その店に行って「美味しいもの」を食べる事が最大の目的だったのだと思う。
でも、その店は1人客の予約は受け付けていないから、この機会を利用しただけだったんだろうと思う。

でもこの時は、
「機嫌を直してくれた!」と涙が出るほど嬉しかった。
実際、彼が見てない時にちょっと泣いた。

機嫌を直した彼は、別人のように穏やかで、会話もそつなく、気まずい雰囲気は一切なく、終始楽しそうだった。
私も、さっきは何かの間違いだろう、と都合よく考えていた。

そんなわけで、彼と付き合い始めた。

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