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あたらしい 公共空間 in八戸

青森県 八戸ブックセンター
2016年12月青森県八戸市の中心部に日本では大変珍しい市営の書店が開店した。
もともとは、2013年に市長選で当選を果たした小林市長が掲げていた「本のまち構想」の実現の為,
東京下北沢で書店B&Bを運営している内沼晋太郎氏に監修を依頼し、開店した。
現在国内には太田市美術館・図書館や都城市立図書館といった公営の図書館でも従来の運営とは異なるユニークな図書館は既に存在しているものの、書店は非常に珍しい事例である。
小林市長は、デジタル化が進む社会において紙媒体である本を求める市場の縮小が原因で街の本屋が減少しており、市長の幼少期の経験に基づいた本屋を通した教育や文化的な成長などへの期待からこの構想に至ったという。
公開されている事業企画報告書では、八戸ブックセンターの基本方針として本を読む人・書く人を増やし、本で街を盛り上げることを掲げている。
元来、公営の本を扱う機関として図書館が挙げられるが、あくまで書店として運営する基本理念としては、周囲の書店との競合を避けつつも街の活性化を促進する事を目的として運営していることが特徴である。そのため、こどもに向けたクーポンを発行し、本の購入の促進を狙うことや、来店者が探している書籍を周囲の書店にも問い合わせ、販売の連携を行っている。
書籍の販売だけではなく、施設のサービスもユニークである。例えば、こどもや大人に向けた読書会や出版発表の場を設けたり、作家やテーマに即した人物を招聘し、トークイベントなどを行う。
基本方針のひとつである「書く」人への支援として、「市民作家」の登録制度を設けている。施設内にある「缶詰ブース」と呼ばれる書くことに集中できるスペースの利用や、出版への助言などを行い、市内からの作家誕生の支援事業として存在している。
また、周囲の書店同志の交流会などを行い、情報交換や事業における連携を図り、公営ならではの活動を行うことで、本を販売することだけではない、街や人を育てる書店である。

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