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粗末に扱われたくなんてない話

少し前に、わたしには
むかし、すごくすごく好きで
「わたしはきっと、この人と結婚する」
と、何も不安に思うこともなく、無意識にも無邪気にも、まっすぐ思っていた恋人がいました。

その恋人から、別れて2年ぶりに
「近くまで行くことがあるので(わたしの住む街が目的地の途中だから)」と、言う理由で連絡が来ていました。
明日会う予定になっていたので、いわゆる
「決戦は金曜日」になる予定だったのです。

しかし。

「仕事が忙しくて、やっぱり行けません」
そのような連絡が届きました。

何度か連絡が途絶えつつ、決まった約束は、
あっさりとキャンセル。
とても残念で、少し気持ちが落ち込むような気分です。
付き合っていたのは、もう随分前のことなのに、どうしてこんなにも感情が動くのだろう、ともやもやと考えていました。

学生の頃は、本当に好き合って、お互いを大事にしあうような関係、そこにはおそらく、リスペクトがありました。
当時のわたしは、
「わたしのことを大事にしてくれる、性格のいいステキな彼」のいる自分、そして
その彼を一途に想い続ける自分が好きでした。

そしてそれは、もしかすると
自分の扱われ方が粗末でなかったから、わたしはずっと幸せだったのだと思い返しました。

最近読んだ本で、「赤ちゃんはミルクの温度が1℃いつもと違うだけで、それを敏感に感じとり栄養摂取を拒絶する。そしてそれは、母親の注意がいつもより自分に注がれていないことを敏感に感じ取ったからだ。」という内容の話がありました。

わたしは、わたしの人生を生きている。わたしはきっと、自分が粗末に扱われたくないために、自分の他者からの扱われ方に敏感なのかもしれないな、と感じました。

彼はわたしにとって最高でした。
夢を語れば応援してくれる、
悩みを打ち明ければ慰めてくれる、
決して否定や衝突がなく、わたしをみてくれていたのだと思います。

別れて、随分経つ昔の恋人同士では、当たり前のことではあるけれど、
いまの彼の、わたしへの扱いに、粗末さを
感じざるを得ず、あの頃の彼と違う部分には、彼に何か期待をしていた自分がきっといるのです。

わたしにとって相手の理由なんて、仕事が忙しいのが本当に切迫詰まったことでも、なんとなく気まずい気持ちになってドタキャンしたのでも、基本的には同じだった。
わたしを蔑ろにしているか。
ただそれだけ。

今更ながら、どれだけ一人で自己満足的な恋愛をしていたのか、気づいてもあとの祭り。

もう伝えることはできないけれど、
彼にはもやもやをしまって、せめてありがとうを。

未熟で無邪気で、
相手を大事にすることを
ほんとうの意味でわかっていなかった
あの頃のわたしと一緒にいてくれてありがとう。
あなたといられて、わたしは幸せでした。

こんな風にあなたにとってのわたしが粗末に思えるのなら、もう会わずに生きていければいいな。

#エッセイ #失恋 #わたしの昔の恋人
#恋愛