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手
大きくて、あったかい。
お父さんがいないわたしの家では、おじいちゃんがお父さんだった。
柔らかくて、優しい。
お母さんが働きに出ている時間は、おばあちゃんがお母さんだった。
今でも覚えている幼い頃の日常。
おばあちゃんが髪を結んでくれて、
おじいちゃんの自転車の後ろは
わたしの特等席で、
この世の怖いものからわたしを守ってくれていた。
どちらも優しいだけの存在ではなかったけれど、
本当にたくさんの愛情をそそいでくれた。
人懐こさはおじいちゃんから。
辛くても頑張る姿勢はおばあちゃんから。
運動会に行けば前田さんちのおじいちゃん、で通じる存在が誇らしかったし、自己管理を徹底していて先生からほめられるおばあちゃんが見たくて病院についていった。
いま
おじいちゃんの手を引くのは私になって、
おばあちゃんの手は変形して、物をつかむのもままならない。
少しずつ小さく、しわしわになっていくことに
別れが近づいていることを意識させられる。
だけど変わらずに
誇りだと言って握ってくれる温度は
あったかくてやさしくって
ついつい泣いてしまう。
おじいちゃんとおばあちゃんとおかあさんとおにいちゃん。
大切な人たちを大切にできる時間が残されていることも
その時間は限りがあることも
きちんと胸にしまっておこう。
お気持ちとっても嬉しいです!