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愛され続ける「ズッコケ三人組」

昔から本を読むことが好きで、小学生の頃シェイクスピアを夢中になって読んでいたのをよく覚えている。しかし難しい本ばかり読んでいると、たまに息抜きできる本を読みたくなることがある。そんな時によく読んでいたのが、那須正幹さんの有名な作品「ズッコケ三人組シリーズ」だ。ユニークな特徴を持つそれぞれのキャラクターたちがテンポ良く物語を進めていき、こちらも思わずクスッと笑ってしまう、そんな大好きな作品だった。

私の父は本好きで、良い本や論文があれば私や姉妹に教えてくれる。最近そんな父から、ズッコケ三人組シリーズの最終作である「ズッコケ熟年三人組」があると聞き、早速父に借りて読み始めた。

※以下ネタバレを含む

あの頃小学生だったハチベエ、モーちゃん、ハカセが50歳になる時代が描かれており、はじめはあの頃と変わらないキャラクターたちにあの頃と変わらずクスッと笑わずにはいられなかった。しかし読み進めていくにつれ、物語は徐々に厳しい現実社会や実際に起こった災害を彷彿とさせる描写が増えていく。

2014年に起こった広島の土砂災害を基に描かれた災害の場面では、その生々しい描写に何度も心を痛めた。災害が起こった後、現場を視察し対策に奔走する市議会議員になったハチベエ、行方が分からない奥さんを探し続ける同僚を心配するモーちゃん、土砂に巻き込まれた生徒の死と向き合う教師になったハカセ。それぞれの立場は違えど、自分なりに置かれた状況と真っ向から向き合う三人の姿に涙が止まらなかった。

それぞれが前を向き、物語の最後にはあの頃のクラスのメンバーで担任だった亡きタクワンを偲んで同窓会を開く。
懐かしいメンバーがそれぞれの近況を報告し合う様子は、何十年経ってもあの頃と変わらない場所がちゃんと存在していることを再確認させてくれた。

あとがきでは作者の作品に対する思い、めまぐるしく変化している今の社会が平和を象徴するこの物語を描き続ける意欲を失わせたことを作者が悲観的に述べていた。大好きな作品だから本当に残念だけれど、これからどんな時代がやって来ようとこの平和で穏やかな「ズッコケ三人組シリーズ」を子どもたちが手に取ってクスッと笑う瞬間が存在し続けることを切に願っている。

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