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はっきりさせる事が大事

仕事を終え、家に着いたのは5時過ぎだった。

暖かい室内にホッとしたと同時に、石油ストーブが付いていなくて、エアコンがついていることに気づく。そして石油ストーブの給油サインのところが赤になっているのを確認して、そばで寝転んでいる夫に言った
「灯油がなくなって、エアコン付けたんか?」
「うん、エアコンの周りもフィルターも掃除したんやぞ」
と、得意げに言う夫。
「それはありがとうございます」
とわたしはわざと丁重に言った。
家事など全くしない人だけれど、エアコンの取り付けなどを仕事でする事があるので、フィルター掃除だけはしてくれる、ほんとに、それだけ。笑

そしてコーヒーをいれて、二人で飲み、夫はテレビ画面で動画を見て、私は溜まっていたラインの返信をしながら、忙しかった新年初営業の時に思わずオーナーに言ってしまった言葉とオーナーの反応を思い出して、笑えてきた。

心に思ったことがそのまま声にでてしまった事に我ながら驚いたのだ。
「私が!ですか?」と口走ったその顔はめっちゃ呆れ顔をしていたはず、すぐにオーナーは慌てて、何か言い直そうとしたけど、その背後でお客様がお会計に来られたので、その話は中断した。

そのまま、それは話し合うこともなく、お互い腹をたてているわけでもなく、
ま、いっか…
と言う状態で落ち着き、私は帰宅した。

ふと、夫が
「エアコンは寒いな〜」
と言った
「ほうか?」とわたしは適当な返事しながら夕食の支度にかかる。
「うん、やっぱりストーブのほうがぬくとい」
夫はストーブの灯油をいれたことがない。
私が多分無理だと思いつつ、
「灯油買ってきて」
と言った時に
「どこに売ったるか知らんなぁ」
ととぼけるので、もう頼まないことにしている。
多分生まれてこのかた、石油ストーブに灯油を入れると言うこの地方では当たり前の仕事をやった事がない過保護息子として育っているのだ。
そのうちに今度は
「灯油はどこにあるんや」
と聞いてきた。私は内心
「えっ?」と驚きながら、
「あっち、階段の下の扉の中」
と言う。
そしたら次の瞬間、ありえへんことが起こった!!
寝そべって携帯を見ていた夫が、起き上がって、階段の下の灯油を出してこっちに持ってきたのだ!!
「あ、お父さん、違う、それは階段の上に置いて、灯油缶を下に置いて入れるんや」
と慌てて、やり方を説明する間に、夫はストーブの灯油缶を取り出して言った
「ポンプはどこにあるんや?」
私はそばに行って灯油のポリタンクが入っていた扉の奥からそれを出して渡して、またキッチンに戻ったのだけれど、しばらくして、一瞬不安がよぎり、また夫のそばへ行くと、案の定
「こぼしてもた」
と夫。(子供か!?笑)
「あ、でもちょっとやで大丈夫、私があとやるから、先に手を洗って」
汚れ物を拭くために古くなったタオルを切って置いてあるので、それで床を拭いていたら、夫はポンプをどうしたらいいのか迷っていた。初めてのことって、そんなにわからんものなんか?63にもなって、灯油も入れられないのか、この人は?って可笑しくなってきた。
「ここに刺して、ほんで、さきに手を洗って」
私は、灯油のついた手で他のところを触られるのが嫌だったので、もう一度同じことを言ったけど、夫はまだ何かしようとしていたので、
「先に手を洗って」
と穏やかにもう一度言うと
「タンクを片付けようと思って」
と言うので、わたしはさらにゆっくりと
「先に手を洗って」
と優しく言ったので、ようやく夫はその場を離れた。

この数分の私たちの穏やかな時間が奇跡のように思えた。
2人で何かをすることは殆どなかった。
家事は一切手伝わない人で、ゴミ捨てさえしたことがなかった。

その夫が灯油を入れてくれた!

しかも、自分がこぼしたことにイライラする様子もなく、私に八つ当たりすることもなく、私にしても、何度言っても手を洗いにいかない夫にイライラすることもなかったし、夫も何回も言われて腹を立てる様子もなかった事が、今までの私たちには考えられない事だった。

何かが変わった

私たちの関係性、今までの在り方、そんなものが変わって、もうケンカする必要はなくなったのかもしれない

ありがとうございます

思考は現実化する…
はたして、わたしのどんな思考がこの現実を引き寄せたのか?

よっぽど寒かったんだ、きっと。
私はエアコンで辛抱して、朝に灯油を入れたらいいと思っていたからね。
ご飯の支度している私に、灯油を入れてって言えないよね。
子供みたい
子供よね、ほんま。
自分でやって、失敗して

こんな穏やかな老夫婦になりたかった。
まだ老夫婦と言うには早い気がするけど、今から訓練しておかないとね。

子供の頃、愚痴ばっかり言ってる母がイヤだった。
反面教師
お母さんありがとう。

人を変えようとして、何を言っても相手は変わらない。
だから、自分の何を変えればいいのか、いつも考え、行動してきた。

この優柔不断な性格もダメだった。
イヤなものはイヤで、好きなものは好き。
これをはっきりさせる事が私にとっては重要だった。

こういうささいな事に一つ一つ気づいて、変わった。
そうしてこの穏やかな日々を過ごせるようになったんだ。

読んでいただきありがとうございます✨😊






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