今を選んだ
身体が動かなくなったら、連絡をして。
そう言われた時のことを、今でも覚えている。
人生、いよいよ終わったと思った。まだ、27歳だったけど。
数年前に、喉に原因不明の炎症が発生した。
それと同じ頃、どういう訳か頭の信号が手の指先まで届かなくなった。
原因と治療法を探る日々で、言われたこと。
正直、こんな毎日にも嫌気がさしていた。だって不安で、気がつけば病気のことばかり調べている。
そこへ、最後の一撃。
病院帰り、スタバに寄るのがお決まりのコース。その日も、冷静な顔をして飲み物片手に席につく。さあ、どうする?確か、その日のお天気は雨予報。でも、雨は止んで青空が見えていた。窓から、眩しいほどに光が差し込む。
どこまで行っても、届かなそうな青を見て思う。きっかけが、ずっと欲しかった。でもそんなもの、見当たらなくて。体調が悪くても、生活のために働いた。どんなに辛くても、働くことを止めようとは思わなかった。けれど仕事帰り、見つめるのはビルの一番高いところ。
そんな想像しなくても、現実にそれはやってくるのかもしれない。そう言われてはじめて、嫌だと思った自分がいた。なんだ、生きたいんだ。
そうして思い立った私は、何故か出会いを求めた。どうしてだろう?今でもよく分からない。ただ人恋しかったのかな。
出会った彼は、私をとんでもない場所まで引き上げてくれた。それまでのことなんて、何も知らなかったのに。
夢や、目標を持つこと。それが出来ないなら、出来る方法を探せばいいということ。そして、それを諦めないとこと。
出来ないから、諦める。不自由になった体で、それを当たり前にしていたことに気がつく。そして、夢とか目標が大好物だったことを思い出す。
彼は目標に向けて走り去ってしまったけれど、ありがとう。おかげで忘れていたことを思い出したよ。
身体は、元に戻るは無理でも使えるにとどまった。難しい顔をして話していた先生は「現代の医学でも分からないことはあるから」と笑う。それなら、それでいいのかも。生きているし。どうする?と聞かれて私は数年間続けた通院を卒業した。
選択をして、今にたどり着く。そしてまた、新しい選択。最近は、これからを考えるのに夢中。やっぱり夢と目標が大好き。
私が私らしく、選んで叶えていけたらいいな。次はどんな選択をして、未来を選ぶのだろう。変わるためのきっかけは、ずっと自分の中にあったのかもしれない。
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