私の教科書
「知識がない」という不安に、負けそうになったことがある。
答えがない問いなのは知っていたけれど、それでも「答えに近いもの」「自分で自分を安心させてあげられるもの」が欲しかった。
普段は小説や雑誌ばかりで、手に取らない専門書。その時に初めて、手に取った。
知識って、授業で習った内容を頭に叩き込むのと同じイメージ。
そうして、引き出しを増やしていく。けれど、どうだろう。
自分の知りたいを学んだ時に得た感覚は、別物。
ふんわり、と。ひらひら、と。
薄い紙が舞い降りてきて、一枚、重なりが増える感覚。
知識という層が形成される、安心感。
一枚、一枚、と確かに増していく、喜び。
好奇心を満たしていく、楽しさ。
20代になってようやく、学ぶ意味に気がついた。
昔の私は、図書館みたいな部屋、本で囲まれる生活に憧れていた。
けれど最近、私の重なりを見て思う。
人生に数冊の教科書。それを自分が求めたタイミングで、幾度となく開く。
それで、十分。
重なりは、引き出しとは違う。スマートな出し入れができない。だからこそ、都度、大切に重なりを増していく。手元にある本への愛着を、確実にしていく。
最近は「色」について、学んだ。
自分に合う色を知ったら、物の見方が変わって
選択肢の幅が広がる感覚がした。
これから、新しく学びたいこと。
今の知識を、深めていきたいこと。
沢山ある。
だから今日も、一枚一枚を大切に重ねていく。
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