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銀行口座もエコな選択を!

先日放送された、脱石炭火力発電のニュースをご覧になっただろうか。

日本は、古い石炭火力発電所による発電量を2030年度までに9割程度減らす方向に舵を切るそうだ。

温暖化対策において前進を見せた一方で、新規の建設は対象外であったり、10年という長さや原子力依存比率が高まることはないかなど、不安に感じる点も多く残る。

複雑な心境ではあるが、これを機に世の中の関心が高まり、ここから更なる改革が行われることに期待したい。

さて、今回は火力発電とも関係のあるダイベストメントについてお話ししたく。

 先月まで受講していたオンライン講座で、環境NGO団体 350.org 支部長の横山さんからお話を聞く機会があり、とても勉強になったのでその一部をシェアしたいと思う。

講座の全内容はYoutubeでも公開されているので、是非併せて見てほしい。

皆さんは、ダイベストメント(Divestment)の意味をご存知だろうか。

これは、インベストメント(Investment)の逆の「投資撤退」を意味し、気候変動関連のトピックにおいては特に「投資の脱炭素化」を図ることを指す。

石油や石炭、天然ガス関連企業への投資から撤退し、自然エネルギーなどの持続可能な社会を目指す事業や企業に投資をする。こうすることで、環境に良くないプロジェクトには資金が集まらないためにその運営を止めることが出来、温暖化対策にもつながるわけだ。

そもそもなぜ、そんなに温暖化対策の必要性を声高に訴えるのか。

それは「脱プラスチックへの挑戦」を読んで伝えたいことでも書いたが、地球が今危機的状況に直面しているからに他ならない。

地球は今、2℃前後の温度上昇をすることで、温暖化を一気に加速させるスイッチが押されると言われている。そんな中、IPCCによって2018年に発表された「1.5℃特別報告書」では、地球は既に1℃上昇をしていて、早くて2030年までに1.5℃に達するという結果が公表された。

この恐ろしいスイッチが押されるとどうなるか ー さらなる異常気象や災害が増加し、海面上昇や(日本はどこまで今の形を保つことが出来るだろうか。。。)、あの暑くて耐え難い真夏日を今よりも多く記録するようになる。

絶滅に追いやられる珊瑚や動物たちも増えていくだろう。(あの可愛いらしい北極グマやアフリカ象の親子が、食料や水を確保できず、倒れていくことを想像してほしい!)珊瑚は死ぬと白くなり、あの美しい色彩は失われてしまう。

今わたしたちは、あらゆる手を尽くして、温暖化を止める努力をする必要があり、この10年間が正念場となっている。

350.orgの調べによると、2020年5月時点で世界では、1,195の団体と58,000人の個人がダイベストメントを宣言しており、その総資産額約1,513兆円

BNPパリバやゴールドマンサックスなどの世界的大手金融機関も、化石燃料関連事業への投資を停止する考えを示している。その他にも大学や教会、地方自治体がダイベストメントを宣言していて、世界中で今、ESG投資への関心は高まりを見せているのだ。

ESG投資とは
ESGとは、環境 (Environment) 、社会(Social) 、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったもの。気候変動やダイバーシティー、少数株主保護等の観点から投資先を評価し、より貢献度が高い企業へと投資をする手法をESG投資という。こういった社会的問題への関心の高まりや、持続性の高い企業の方が長期的安定が見込めるなどを理由に近年、ESG投資は規模は拡大している。

一方日本はというと、穴を掘ってでも入りたくなるほど遅れている。

2019年石炭火力発電に対する融資銀行世界ランキングでは、ワースト3を日本のメガバンクが独占した。現在、新規投資はしないことを表明しているものの、既存の案件は例外とし、海外での石炭火力発電所への投資は続いているという。

みずほは2020年4月に、石炭火力発電所向けの新規投融資の中止を発表したが、「2050年までに段階的にゼロにする」というこの設定期間が長すぎると批判されていたりする。

また、米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク他が今年3月に発表した、新報告書「化石燃料ファイナンス成績表2020」では、日本のメガバンクは35行中、MUFGが第6位、みずほが第9位、SMBCグループが第20位となった。

特にみずほとSMBCグループは前年に比べ、化石燃料部門への融資・引受額をそれぞれ10%、27%と大きく増やしている。具体的な投資金額は以下の通りだ。

1. 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG):約1,188億ドル
2. みずほフィナンシャルグループ(みずほ):約1,031億ドル
3. 三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ):約596億ドル

投資家や銀行、企業だけが現状を変えることが出来、国民としては穴を掘るくらいしか出来ないと思うかもしれないが、そうではない。

ここでは、横山さんが教えてくれた個人レベルで出来る活動を含め、7つをご紹介したい:

わたしたちに今できること
1. ダイベストメント宣言
2. クールバンクに口座を作り、管理する
3. キャンペーン・マーチに参加する
4. 寄付をする
5. ボランティアに参加する 
6. 友達・家族・知人と話す
7. SNSでシェアする

350.orgのウェブサイトでは、ダイベストメント宣言に署名をすることが出来る。この署名は、麻生財務大臣や日銀の黒川総裁、金融庁、各メガバンクの社長へ宛てた内容となっていて、日本では1,150名と16の団体が参加している。

宣言する!

クールバンク(=地球環境を破壊するビジネスを支援していない銀行)は、350.orgのウェブサイトから確認することができるので、是非参考にしてほしい。預金額がわずかだったとしても、環境に関心があるという意思表示としてクールバンクを選択することが大切だそうだ。因みに楽天銀行じぶん銀行は、地球にやさしい銀行ランキングの上位に位置している。

選ぶ!

また、350.orgではボランティアも募集している。主な活動拠点は、東京と大阪とのことだが、無料で登録ができ義務は発生しないので、興味のある方はまず登録してみるといいかもしれない。

登録する!

最後にシェアをするということ。周りの人に直接話すだけでなく、SNSやブログへの投稿も有効だ。350.orgへ報告し、集まった報告で大手銀行に環境に配慮した行動を促してもらうことも出来る。

報告する!

わたしは最近、クールバンクで口座を開設した。メガバンクの口座を必要以上に持っているので、これを機にそちらの整理もしようと思っている。

また、ダイベストメントに限らず声を上げることは大切だと感じ、10年以上使っていなかったTwitterを再開してみた。

因みにアカウントは、@Miii8888888。同じく気候変動などの社会問題に興味のある方と繋がれたらとても嬉しい!

地球に多大なる負荷をかけ続けたものの、今の私たちの物質的豊かさは化石燃料の恩恵を受けて築かれてきた。目覚ましい技術革新とともに、経済発展に寄与した化石燃料だが、残念ながら今日においては長期的にみて利益をもたらさない過去の栄光となった。

今わたしたちは改めて未来の方向を向き、持続可能な社会に向けて、出来ることからやっていくことが求められている。あなたが一生懸命働いて稼いだお金は、希望ある未来のために使われているだろうか。開発途上国を侵害していないだろうか。

様々な想いが込められたダイベストメント。この選択をした先に見える希望の光をあなたにも見てほしい。


参考リンク:
・ 350.org
・ レインフォレストアクションネットワーク
・ 一般財団法人環境イノベーション情報機構
・ Sustainable Japan
・ 幻冬舎 GOLD ONLINE

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