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この頃、友達がちらほらと家やマンションを買い始めました。私も触発されて、週末になると物件を見て回ったりしました。安定した大企業勤務の上に、外資系でサラリーが高かったので、高額の住宅ローンも問題なく組めるようでした。

あるとき、世田谷区にある一戸建ての物件が気に入り、買おうかどうか迷いました。30年の住宅ローンの見積もりも作ってもらいました。ある日曜日の夕方、不動産屋さんにお願いして、その家でしばらく一人にしてもらいました。リビングの真ん中にぽつんと座って、そこで生活している未来の自分の姿を心に描いてみました。

カーテンは何色がいいだろう? 素敵なソファを買おう。2つあるベッドルームの一つは、仕事部屋にしよう。ときどき友達を呼んで食事をしたいな。ダイニングテーブルは6人がけがいいけど、スペースあるかなぁ。。。

そのとき、突然、ブリスベンで見た光景が心に蘇りました。ひろびろとしたリビング、青い空、青い運河、バーベキュー、みんなの笑顔。

「そうだった!私の欲しい人生はこれじゃなかったんだ!ここで家を買ってしまったらローンに縛られて自由を失ってしまう!」

自分が本当に欲しかったものを、思い出してハッと我にかえったのです。

貯金を家の頭金にするのではなく、未来を変えるために使おうと思いました。
数年前に、ブリスベンで心に植えた種が、やっと芽を出しはじめたのです。


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