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ワタナベミホ
2022年2月9日 12:19
○暴徒を鳥となって空から眺める女の子の話午後の休憩のとき、賢くて繊細でものをわかりすぎる女の子は寺院の外で人々が怒鳴る声を聞きました。寺院の門の外へ顔を出すと、隊列を組んだ人たちが旗を振りかざしながら大通りを練り歩いていました。女の子の後ろから髪を一つにくくったおじさんも大通りを眺めていました。「国のやり方に抗議する奴らだねえ」「何に抗議してるの?」髪を一つにくくったおじさんは
2022年2月5日 13:20
賢くて繊細でものをわかりすぎる女の子は市場から余り野菜を集めるのも慣れてきたところで厨房頭の太ったおばさんに言われました。「市場係も慣れてきたようだし、かまど番をやってもらおうかね」かまど番は朝早くかまどの火をおこし、夕方火を落とすのです。寺院に寝泊まりしている女の子がやるのは適任でした。早朝の冷たい空気の中、寝床から抜け出して種火から火を移し、紙屑や小枝に移し、指くらいの木をくべ、火
2022年2月2日 12:57
毎日大量の野菜を洗い、むいて、切り刻みます。賢くて繊細でものをわかりすぎる女の子は他の人より仕事が遅く怒鳴られてばかりです。朝一に積まれた野菜の山を見るとため息がでます。担当分だけでもやり遂げなければと必死で洗い、むいて、切り刻みます。女の子の手はぼろぼろになりました。その手を見て厨房頭である太ったおばさんが嘆きました。「今時の若者は使えないねえ! あんた、そんなんじゃ手がしみて野菜もろくに洗