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自立分散の「まち」を実現する、地方議員の可能性~流山100人会議でのプレゼンの全容~

先日の7月31日は、流山100人会議に登壇させていただきました。
普段政治から遠い方もいらっしゃるということで、地方議員の仕事について、市と議会の役割や関係、今の時代に必要な地方議員の可能性について、お話をさせて頂きました。

地方議員の仕事は自由だ!でも原理原則の仕事はサボってはダメ


地方議員は選挙で選ばれば仕事が出来るので、何に時間を割くのかは自由です。しかし、地方行政には二元代表制という素晴らしい統治機構があり、この活動を命を吹き込んでこそ、自由は認められるという持論を私は持っています

100人会議では「これをやってない議員は仕事をしていないのと一緒」という気持ちでプレゼンをしました。市民がこの仕組みを知らなければ、選挙での評価を間違えるためです。

参加者からは「大変わかりやすかった、みんな知らないからもっと広めては!?」とコメントを頂きましたので、私が議員になった背景含めて紹介します。

近藤のプロフィール

私が議員になったのは?

流山市議会議員の近藤みほです。
まず、地方議員という仕事について、この場でプレゼン出来ることを嬉しく思います。
ご紹介の通り、私が議員になったのは311(東日本大震災)がきかっけです。福島第一原発の爆発により、購入したマンションが汚染マンションと某全国紙に報道されました。当時私は育児休業中で、周囲の線量を測ると、場所によっては福島を超える線量がある状況を把握していました。
しかし市に相談すると「そんな事実はない」と言われたのです。

プレゼン資料:議員になるきっかけ東日本大震災

流山市は、当時転入者を呼び込みたくて軌道に乗ってきた時期だったので否定したい気持ちは分かります。しかし「母になるなら、流山市。」とPRしながら、母が不安な時に、事実に向き合わない姿勢は違うと思い活動した結果、育児休業中には活動が終わらなかったこと、活動する中で、子育て環境も改善の余地があると思い、立候補することにしました。

計測データと共にICRP基準を根拠に考察をまとめ資料を提出したり、議会を通じて声を上げた結果、その一連の活動が素晴らしいと、流山市は軌道修正し、国よりも厳しい基準での除染を決断して下さりました。その経験も大きな糧となっています。


しかし議員1期目で目の当たりにしたのは、上意下達、先輩後輩が非常に厳しい世界でした。
〇1期目から仕事が出来ると思うなよ!」と恫喝されたり、
〇議員は選挙があるんだから、全員敵!(足の引っ張り合い)

こういったくだらない発言は無視して改善活動をしてきた結果、議員の本来の素晴らしい役割を実感出来るようになって来ました。今では、地方議員がしっかり仕事をすると、多様性豊かなまちづくりが実現すると確信しています。皆様には、ぜひこのことを知って欲しいのです。

原理原則の二元代表制を使い倒す

市長が大きな方向性を、議会は多様な民意の反映を

プレゼン資料:二元代表制


地方行政の大切な統治機構、二元代表制について説明します。地方行政では市長と議員、両方を選挙で選ぶことができます。
ここで重要なことは市長は1人しか選べないのに対し、議員は28人選ぶことができるということです。
現在、流山市の人口は20万人7千人になりつつあります。市長がこれら市民全員のニーズを聞けるのかというと、難しいです。
一方、議員は28人います。だから自分により近い属性・考え方もつ議員を選挙で選ぶことで、自分の要望をよりダイレクトに届けるパイプを持つことができます。

議員がいる意味を保育政策を例に説明します。市長は大きな方向性として「待機児童0」を掲げます。待機児童0という政策は(市民の方は簡単に考えるかもしれませんが)実現は割と大変な政策で、これを出来るだけ早く実現しようとすると、まずは量(質は後)となりがちなのです。
でも、子どもの1年は重要ですから、質をないがしろにしていい保護者なんていません。ですから「質も担保もしてください!」と要望し、実際どうなのかをチェックしていけるのが市議、議会の役割なのです。

保育政策を例にあげましたが、各議員、主要政策を持っており、常に話し合いや利害調整が行われています。自分の政策を他の議員から理解を得ることが出来れば、さらに強い要望として市に提案することが出来るのです。

市議が、行政と市民のパイプ役である意味

プレゼン資料:主張を整え、まとめより大きな力に

次に市議は行政と市民のパイプ役といわれますが、この意味について説明します。
市民は多様な意見を持っています。しかしバラバラな主張では力になりません。これを市民の声を日々聞いている議員が主張を整え、さらに他の議員との利害調整を図り、意見を集約することで、より大きな力(要望)にすることができます

プレゼン資料:予算・決算、議案審議の様子

これを前提として議会の仕組みで考えます。
市長は議会に、政策や予算・決算の提案をします。すると議員は自分がつながっている、そのテーマに応じて関心の高そうな市民に意見を聞き、それを各議員が持ち寄って議員同士で協議、意見を集約した上で、市にフィードバックします。

「大きくは賛成するけど、この点だけは気を付けてね」と指摘したり、時には大きな方向修正を突き付けることもあります。
このプロセスをしっかり行うことで、市民がより深く行政の動きを知ることが出来るし、そうすると、自分でも何か貢献できるかな?と考える市民が出てきます。

じつはこれは大変重要なことです。
予算が限られている中、流山市行政が出来ることは限られています。よって行政で出来ること、自分達で出来ることの切り分けを行う必要があります。限られた予算で、よりよい「まち」を実現するために、自走できる芽を見出し、活動に伴走することは大変重要なのです。

強いリーダーシップよりも自立分散がいい

「強いリーダーシップ」聞こえはいいですが、1人が強くても、すべての情報を把握して的確な指示を出すのは、私は無理だと思っています。
時に間違うこともありますよね?311の時も市は間違えました。
それよりも、地域課題に対して、しなやかに対応できる、自立分散型の「まち」の方が強いと思うし、だからこそ地方議員の役割に可能性を感じているわけです。

現在では、先輩後輩を超えて、足の引っ張り合いをしないフラットに協力出来る流山市議会では、ありたい姿に近づいている実感をもちましたので、様々な方々と連携し価値を見出そうというチャレンジを始めました。

議員から始めるコレクティブインパクト

他議員との連携:1たす1で3以上のパフォーマンスを出す

プレゼン資料:議員から提案する流山本町まちづくりVision

流山市議会議員の他の議員と連携して、1たす1で3以上のパフォーマンスを出す!ということを目指しています。
具体的な活動の1つに、おおたかの森に住む私と、流山本町に住む渡辺議員とタッグを組んで、流山本町のまちづくりビジョンを提案してしまおう、という活動があります。これは、本町住民の声を丁寧に拾うことはもちろんのこと、TX沿線に転入してこられた、できれば将来、流山本町に住んで頂けるかも!と言う方のニーズを掘り起こして、高齢化している流山本町の力にしようという取り組みです。

まずオピニオンリーダー的な方に意見聴収を行ったり、WEBでアンケートしたり、タディツアー行ったり、と活発に活動をしています
私たちは一番住民の声を拾える立ち位置にいますから、行政が作る計画書よりも面白いもの作れるはず、と自分達を鼓舞して頑張っています。ご注目頂けますと幸いです。

千葉県知事と市町村議員のネットワーク「幹を強くする千の葉の会」の立ち上げ

その他、千葉県知事と市町村議員がネットワークする政治団体「幹を強くする千の葉の会」の副代表を仰せつかり、県行政との政策の連携強化を目指して活動をはじめました。

優秀な他自治体職員と民間事業者とのつながり

また、昨年度通った、都市経営プロフェッショナルスクールで出会った全国の優秀な他自治体の行政職員や、助成金に頼らずまちづくりを実現している民間事業者とのつながりを作り始めました。

昨今の社会課題は複雑で、行政だけで対応するのは難しいと感じております。だからこれからの地方議員の役割は、日々市民の声を聞きながらも、多様な方々とのネットワークを作り、その知見を地域に還元することで、市民が自走できる環境づくりに貢献することだと思うようになりました。

流山市議会では、この息吹が産まれ始めています。
今日は地方議員がしっかり仕事をすると、多様性豊かなまちづくりが実現できること、お話をさせて頂きました。
皆様も地方議員の本質を突いた仕事にあり方にご注目頂き、ぜひ関わっていただけますと嬉しいです。

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