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地方異動を言い渡された日

先日、地方異動の打診を受けました。

行き先は、長野県。

突然、勤務先の店舗に現れた会社役員に呼ばれた瞬間に地方異動を覚悟したわたしは、不思議と冷静に役員の打診を受けていた。

むしろ、長野ならすぐ東京帰ってこれるから野球も観に行けるよ、なんて暢気なことを考えていたし、そんなことより話をするために入ったカフェでご馳走していただいたほうじ茶ラテを飲むタイミングがわからず困っていた。
入社4年目なりたての平社員が会社役員と2人でお茶なんてシチュエーションあんまりないよね。

断る理由もないし、わたしは「行きます」とすぐ返事をした。

役員と話し終わって、店舗に戻ると、異動を察したスタッフたちが「行っちゃうの?」って悲しそうな顔で聞いてくる。

ああ、こんなに恵まれた環境から離れるんだな、ってそこで現実とぶつかって、どうしようもない不安で胸がいっぱいになる。

新卒で配属になり、丸3年勤めた店舗。
馴染みのお客様も増えてきて、優しい先輩や後輩に支えられ、半年前には恐れ多いが副店長を任せてもらえたところだった。
こんなに温かくて恵まれた場所から離れて、果たしてわたしはやっていけるのだろうか。

ふわふわとした気持ちで仕事を終え、真っ先に両親と彼に伝えた。

「長野なんて近いよ、すぐ帰ってこれるよ」っていう気持ちが強かったし、少し離れるけど心配しないで、ってニュアンスを込めて伝えたつもりだったけれど、母や彼はわたしの何倍もショックを受けていたように感じて、寂しさが募る。

ふわふわ感は抜けないが、時は進む。
抱えていた仕事を、他のスタッフへと慌ただしく引き継ぎ、この店舗で頑張っていたものを下ろしていく。
新しい物件を探し、今の家の荷物を片付け始める。

打診をされたのがたった3日前の話なのに、なんだかもうずっと前のような気がする。

それほど忙しくしていて、ゆっくりと立ち止まる暇がないのかもしれない。
というか、立ち止まると寂しくて不安になるから、あえて忙しくしているのかもしれない。

あと少しの東京生活、慌ただしく過ごしていこうと思う。