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フルネームに名字がない!?インドネシアの名前事情 #えいごチャレンジvol.5


MATCHAインドネシア語版の翻訳リーダー・カティアさんとの英会話を記録するえいごチャレンジマガジン。

今回のトピックは「名前」について。

以前、日本で生活をするタイの人から、「クレジットカードの申し込みをするとき、名前が長くて申し込みフォームに入りきらなかった」という話を聞きました。タイは名前が長く、Webで申し込みをしようとしたら入力できなかったそう。

その話をカティアさんにすると「大阪に留学していたとき、似たような経験をした!」とのこと。カティアさんは"名前が3つある"ため、氏名にどれを書くか迷ったといいます。

ちなみに「名前が3つ」とは、ファーストネーム、ミドルネーム、ファミリーネーム……という意味ではないらしい。「えええ、どういうこと⁉」と思わず混乱して会話は始まります。

ちなみにカティアさんの名前は「Katya Alvina Canakya(カティア・アルフィナ・チャナキャ)」さん。

子どもの名前、両親の判断で複数つけられる?

―カティアさんの名字は「Canakya」ですか?

いいえ、3つともファーストネームです。

―え! 3つとも? 名字は無いんですか?

うーん。あるにはありますが、私の民族(ジャワ人)はあまり名字が重要じゃなくて。3つとも両親につけてもらった名前です。

名字は、民族によって重要度が違うんです。名字で富裕層の階級を表す民族は重要視しますが、名前が重要な民族もある。本当にそれぞれですね。

―なんと…! じゃぁもしカティアさんが結婚したら、名前はどうなりますか?

特に変わりません。インドネシアでは結婚しても名字を変える義務はないんです。

―日本と全く違うんですね…!ちなみに、ミドルネームはどうしてつけられたんですか?

うーん、一種のトレンドみたいなものだと思います。たとえば私は3つの名前を持っていますが、妹は2つ。あまり規則性は無いんです。


さまざまな言語、さまざまな意味からつけられる名前

―カティアさんの名前には、どんな由来があるんですか?

"カティア"の意味は、サンスクリット語で「子宮」です。私の性別が女だったから、女性の大事な臓器ということで「子宮」とつけたみたいです。

ちなみに"カティア"という名前はインドネシア人だと珍しく、ロシアではよく聞く名前。なのでよく、ロシア人に間違えられますね。

ミドルネームはドイツ語から取ったと両親に聞きました。「様々な生き物と仲良し」といった意味だそうです。そこから、「人々と良い関係を築く人になるように」という思いを込めたと聞いています。

ー子宮……なかなか日本では見かけない名前の由来!

ロシアでは結構多いみたいですよ(※)。ちなみにもりやさんの名前はどうやって決まったんですか?

―日本では漢字の意味を由来にすることが多く、私の場合もそうでした。私の名前のひとつには、「偉くなるほど謙虚に」という意味を込めた漢字("穂")が入っています。美しく、そして偉くなっても威張らず謙虚なひとになるように、という思いでつけてもらいました。同じ「みほ」でも漢字の違いで意味も変わってくるんです。

漢字は一文字に意味が込められていて、素敵ですね。ちなみに稲穂については、インドネシアでも同じ意味を持ってますよ! ことわざにもあって、より賢くなるほどお辞儀をする、謙虚になるという意味があります。

農業国だからこそ、稲穂に対することわざができたのかもしれないですね。

(※)ロシアで使われている“katya”は、サンスクリット語が由来ではないそう。カティアさん曰く、英語圏でのKatherine(キャサリン)→ロシアでYekaterina、略してkatyaとなっているとのことです。

あとがき

てっきり名前がカティア、あとはミドルネームと名字で成り立っていると信じて疑わなかったカティアさんの名前。日本とは考え方が違いすぎて、想像するのも難しいほどでした。

日本で名字が大事にされているのは、「家を継ぐ」概念があるからだろうなと思う。その名字をもつ一族の血が絶たないように、息子を生んで嫁をもらい、後継者を作る。そうやって日本人は続いてきた。

今でこそ「旦那の家に入る」みたいな概念はなくなりつつあるけれど、もしも自分の代で家系が終わると思ったら、「後継者を見つけなきゃ」と思う人、終わることに寂しさを感じる人が9割なんじゃないかな。

カティアさんの話は、「どうして残さなきゃいけないの?」と、根本を問いかけているみたい。なんの疑いもない日本の常識に、疑問を投げかけられたような気がしました。



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