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干支一周した記念日に。

「ピンポーン」

「ぼくがでる!注文してた本だと思う!」

ダダダダダッ。

珍しく玄関の外に出ていってドアまで閉めた夫。

どんな怪しい本を発注したんだろ…?

そう思っていたら、戻ってきた夫の手には、本ではなく、大きな向日葵の花束…!

「おめでとう。生きていてくれて、ありがとう」

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ヤバい、全く予期してなかったサプライズに泣いちゃう…。
というか、夫も泣いてるし…!

(感動しながら、「ちょっと動かないでね」と写メを撮る。)

がんになった人の一部で、告知された日を「セカンドバースデー」として毎年その日を更新できたことをささやかにお祝いする風習がある。

今日は、私にとってのセカンドバースデー。

2008年5月2日にがん(Cancer=キャンサー)を告知されてから今日で12年。
ぐるっと干支が一周まわった。

コロナと出会ってしまった後を「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」などと呼ぶならば、私は人生の3分の1を「ウィズ・キャンサー」「ポスト・キャンサー」として生きてきた。

最初は、「ビフォー・キャンサー」の頃の自分に戻りたくて、戻れなくて、すごく苦しかった。

経験してしまったが最後、怖いものも身体の傷もなくて根拠なく百歳まで生きられると思っていたくらい健康に自信満々だった若い自分に戻ることはどんなにあがいても不可能だった。

そして、時間はかかったけど、もとに戻ろうとするのではなく、新しい自分を受け入れていった先には、「ビフォー」の人生よりもさらに味わい深い人生が待っていた。
失ったものもあったけど、得たものはもっとあったと今は確信している。

これは、2年前の今日。

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両家族がハワイに集まってお祝いしてくれて、この2日後、私たちは家族挙式をした。

コロナがなければ今頃は世界一周中、ハワイでみんなと再集合するはずだった。

それがこんな状況になり、ハワイどころかみんなで会うことすら叶わなくなった。

その事象だけ捉えるとだいぶ切ないけれど、今夜、それぞれが暮らす場所からオンラインで集まることになって、とても楽しみにしている。 

今は、「コロナめー」と思うこともまだまだ多いけど、こんな時は、ただ生きているだけでいい。

大切な人たちが生きていてくれるだけでいい。

いつか必ず「あれは新しい時代の幕開けだった」と懐かしく振り返ることができる日がきて、そのときにはきっと社会全体が前進している。

自分にとって一年で最も「がんめー」と泣いていた日々のことを思い出す今日、そんなことを思いながら眩しい向日葵を眺めている。

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認定NPO法人マギーズ東京共同代表。 2006年〜2018年、日本テレビ記者(兼)キャスター。 2019年2月、著書「もしすべてのことに意味があるなら(ダイヤモンド社)」、10月「7つの習慣 鈴木美穂ver.(FCE社)」出版。 2019年6月〜、夫と一年間の世界一周へ。