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システム改修の落とし穴にハマって学んだ予防策:3選

はじめまして!リンクアンドモチベーション中村です。
私はCSOps&RevOpsチームに所属しています。私たちのチームは、より生産性を高め、より顧客価値を拡大するために、SFA/CRMの開発・保守運用や業務プロセスの改善に取り組んでいます。よろしくお願いします!

今回は、「全社システム刷新プロジェクト(PJT)」の立ち上げ期で、私が経験した「陥りがちな落とし穴3選」とそれに対する「予防策」を紹介します。

システム導入に慣れている方にとっては基本のキの内容です。
私と同じくシステム導入未経験の方のお役に立てれば幸いです!

前提

全社システム刷新PJTの概要
弊社では現在、10年以上前にフルスクラッチ開発したシステムを使用しています。このシステムには顧客管理や会計管理、社内ワークフローなどの主要な業務機能が組み込まれており、スパゲッティ化が進んでいます。本プロジェクトでは、このシステムを目的に即した最適なシステムに分割することを試みています。

陥りがちな落とし穴と予防策:3選

1:「問題は問題ではない」という落とし穴

<起こったこと>

PJTの発足背景の1つとして、「データ容量上限が近づいており、追加開発ができない」という問題がありました。私たちはデータ容量上限と現在の使用量をまとめ、PJT発足の必要性を訴えました。しかし、経営陣からは「これ、本当に問題なのか?」と疑問を投げかけられました。そこで、私たちはその問題の原因を詳しく調査することにしました。

調査の結果、以下のことがわかりました。
・利用されていないデータが多数存在する
・データ容量が大幅に増加したのは一定期間であり、その他はわずかな増加
・未使用データを削除すれば、上限に達するまでに数年の猶予がある

つまり、私たちが問題と考えていたことは、実際にはシステム刷新をしなくても解決できる問題=問題ではなかったのです。

<予防策>「問題」の原因を調べ、「今やるべき」ものに絞る

PJT発足の大前提として「起こっている問題」を疑問視することが重要です。その際には、以下の観点で洗いしましょう。

  • なぜ:問題が発生している原因は何か

  • いつ:問題がいつ発生している(いた)のか

  • どこで:どの部署やプロセスで問題が発生しているのか

  • どのくらい:問題がどの程度発生しているのか

さらに、システム刷新以外の回避策や現時点で取り組むべきこと、やらないことによるリスクを検討します。これにより、問題ではない問題を解決するために多額の費用を費やすという致命的な落とし穴に陥ることを避けることができるでしょう。

2:「現状調査から進めない」という落とし穴

<起こったこと>

弊社は複数事業・複数法人を持つ企業です。そのため、各法人や事業ごとに利用されているシステムを調査し、開発の範囲やステップを決定しようとすると、情報の量は膨大になってしまいます。さらに、それらの情報をまとめ上げることは非常に困難です。
そこで私たちは、まず現行のシステム機能をCRM領域、ERP領域、社内業務領域の3つに分類しました。その後、収益に大きな影響を与えると想定される、CRM領域→社内業務領域→ERP領域の順番でシステムを刷新することを決定しました。さらに、経営戦略に基づいて各事業の開発優先度を設定し、開発のパターンを7つに絞り込みました。そして、経営陣とすり合わせた判断軸で開発パターンを評価し、スコープやステップを決定しました。

<予防策>分ける・絞る・整える

現状調査は非常に重要ですが、時間をかけすぎると、調査を終えた時点で既にシステムの機能や外部環境が変化しており、再検討が必要になるかもしれません。膨大な情報の整理に取り組む際のポイントは以下のとおりです。

  • 情報を大まかなカテゴリに分類する

  • PJTの目的に基づいて、情報を絞り込む

  • 判断基準を整理し、それに沿って情報を整える(MUST/WANT・QCD)

これにより、情報整理に明け暮れ、気づけば大幅なPJTの遅延になっていたという悲劇は避けられるでしょう。

3:「AsIsの重力」という落とし穴

このPJTでは、事業成長や顧客価値の向上、生産性の向上などが目標とされています。しかし、ToBe(将来の姿)を描く過程で、現行のプロセスや現場の状況に対する理解が深まるにつれて、変更することに伴うリスクや現場への影響の大きさに注目する傾向が生じました。そして、PJTメンバーから「現状のままで十分ではないか」という意見が出てくる状態になってしまいました。徐々に、AsIs(現行状態)の重力に引っ張られ、本来のPJTの目的を見失ってしまっていたのです。

そのため、私たちはPJT内で「このPJTの目的は何か」について話し合い、変更の必要性を確認しながらプロジェクトを進めることにしました。また、それぞれが不安を感じているリスクを明確にし、個々の解決策を話し合って決定しました。

<予防策>常に目的に立ち返り、強い意志を持って進める

AsIs(現行状態)の重力に引っ張られずPJTを進めるためには
以下のような点に注意が必要です:

  • 目的を見失わないようにする

  • 目的を達成するための方法を考え、リスクに対応策を準備する

  • 全てのPJTメンバーがポジティブな思考を持つ

PJTを進めるためには、関係者の強い意志が必要です。PJTメンバー一人ひとりが使命感を持ち、前向きに取り組むことが求められます。目的を見失わず、前向きな姿勢を持って取り組むことで、ToBeの姿がAsIsに近づくことを避け、プロジェクトを順調に進行することができるはずです。


以上、私が落とし穴にハマって学んだことをお伝えしました。
今も、このPJTは絶賛推進中です。システム刷新は「システムを変える」のではなく、「ビジネスプロセスを変える」ためのもの。これからも沢山の落とし穴が待ち受けていると思いますが、適切な予防策と柔軟性を持って取り組み、PJTの成果を最大化していきたいと思います。


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