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ポートフォリオとして活動先と寄付先を決めようって話と、新たな「推し」の話【NPO経営に挑戦するみほの記録 #2】

immi labの代表として在日移民課題に取り組んでいますが、この課題が世界中で一番深刻だと思っている訳ではありません。

どちらかというと、高校の頃から世界の色んな課題を見て触れてきたつもりですが、その中で一番自分の立場や経験が効果的に使えるのではと思ったので、やってます。インプット:インパクト指数が大きそうという感覚。

※なぜ移民課題に取り組むようになったかに関しては長ーーい別記事を書いているのでもう少しお待ちください・・・。


国際保健の現場で働いていた時に見たエチオピアの紛争地帯付近のクリニックに酸素ボンベが足りなく死んでいく乳幼児の現状や、カリフォルニアの警察の人種差別的思考で銃撃されるアフリカ系若者や、パレスチナの現状など、挙げればキリがありませんが、とにかく「いかれてんだろ」と思う課題は山の様にあります。

ただ、自分の人生の時間は有限です。家族や友人と過ごす時間なども考えると、活動などに使える時間は人生で約80,000時間。(40時間x50週x40年) あまりにも短い。どう使う?私はimmi labを通して、これまでとは違うアプローチでの移民課題の取り組みをしたい。

そしてもう一つの人生の大きなリソースであるものは、お金。自分が時間を使っても解決できそうにない、または効果が薄い課題や活動には寄付するべきだと考えます。

2017年頃、私と夫はベイエリアでEffective Altruism(効果的利他主義)に基づいたEffective Giving(効果的な寄付)の勉強会を開催していました。自分たちの限られた寄付額を、どの団体や活動に寄付するのが最も社会を変えられるのか、何を指標にして決めるべきかをディスカッションするグループです。
その時の記録全部残ってました。夫、まじ有能すぎ。結構良い内容なので、これもそのうち公開するとして…
私たちがその時前提としていた考え方が「自分のリソースを割く先をポートフォリオとして考える」というものです。

たとえば、私はimmi labを通して在日移民課題に時間を費やしている。世界の紛争や国際保健にもかなり関心が高いが、現状として現場に行けない。
なので、効果的な活動をしている団体に寄付して、自分のリソースを託す。
そんな風に、ポートフォリオとして考えると、関わる社会課題やアプローチを一つに選ぶ必要はなくなります。Analysis Paralysis、いわゆる「分析しすぎにより結局何も行動しない」現象も避けやすくなります。


えー、ここまで前置きです()。いつも前置きが長すぎんだよ。
話していると「前提条件が違いますね」と時々言われる理由はこれか・・・前提の話まですると話が終わらんのよ。


本題。
私と夫は寄付ポートフォリオを重要視しているため、寄付先を決める時は家族会議になるわけですが、久しぶりに継続寄付先をアップデートしました(私の猛烈な推薦の結果)。
具体的には、アクセプト・インターナショナルのアンバサダー(継続サポーター)になりました。先日、活動説明会に参加してそのアプローチと戦略性に超感銘を受けたので。

アクセプトは紛争解決を目的とし、元々「テロリスト組織」にいた、またはいる人たちの投降を促したり、投降後や捕まった人たちの社会復帰を目指して包括的なエンパワーメントプログラムを実施しています。
ひとりひとりとの対話を通した活動だけでなく(それも凄いんだけど)、その先の組織と政府の対話などを見据えた戦略があるのがまじすごい。詳しくは活動説明会参加してください。
団体説明会じゃなくて「活動説明会」ってやつが一番情報量多いらしいので私的にはそれがおすすめです。


アプローチへの期待もあるけど、もちろん個人的な思いもあるので、少しここから自分語り。

大学の時のプロジェクトとして、性犯罪者が非人間化されていて社会復帰できないので人間化できるようなナラティブを伝えるプロダクトを作ったことがありました。その時のチームメイトは元「性犯罪者」として刑を受けた方でした。彼が何度も私たち他のチームメイトに伝えた思いからつけた、その時のプロダクト名は 「I Am Not A Dot」。「自分はデータ点ではない」(そして人間である)という意味です。当時のチームブログ投稿がウェブアーカイブに残っていました。

また、大学院のとある時期には、カリフォルニアのサンクエンティン州立刑務所に毎週通う機会があり、終身刑を受けている方々と話す時の機会がありました。その時のプロジェクトは刑務所内の食生活が悪すぎて糖尿病発症者が続出しているので公衆衛生位的視点から何かできないか、というものでした。セキュリティ上もちろん写真撮影不可なので、帰ってきてから毎回簡単なスケッチを描いてました。大丈夫そうなやつ一部公開。どれも2016年頃のもの。

刑務所内に入った時の印象を覚えていたくて描き留めたもの
食堂の印象を覚えていたくて描いたスケッチ


これらの経験で感じたこと。

ひとつは、社会でいわゆる「犯罪者」「凶悪犯」と言われる人々も、自分と同じ人間であるということ。家族がいて、大切なものがあって、やりたいことがある人間であること。

ただ、多くが、これまでの境遇や育てられ方を通して「犯罪に手を染めなければならない状況に追いやられた」ということ。つまり、もし私も同じ様な境遇で育っていれば、犯罪に手を染めていた可能性はあるということ。

そして、彼らの状況を他人事だと考えることは、犯罪者を生み出してしまう社会構造に加担していることと同じだということ。わたしが今日、無意識に誰かにかけた言葉や行動が10年後どのような影響を与えているか予測できません。影響を与えている可能性はゼロではないし、それを無視するのはあまりにもナイーブ。責任を感じるべきと言っているのではなく、事実認識する必要があるということです。


これは私の今の生き方や働き方にとっても、かなり重要な軸となっています。世界観、社会観というべきでしょうか。もちろん、immi labの活動理念にも繋がっています。
そして、アクセプトもこの世界観を結構共有していると感じたのでアンバサダーになることに決めました。私の感じ方なので、違ったら申し訳ない。撤回するのでアクセプトの方はご連絡ください。


アクセプトの「憎しみの連鎖からのほどく」アプローチは、日本の移民課題の解決にもつながることだと思っています。現場でいろんな家庭や若者の話を聞くたびに、行き場のない表現しきれない怒りや悲しみを感じます。最善の結果につなげるための方法がまだ見えていないので、紛争解決の分野から学べることもあるのかなと思い、勉強していきたいところです。


今回は経営とはあまり関係ない話でしたね、すみません。


あ、前半のEffective Givingの内容に興味のある方は、GiveWell80,000hoursのリソースがおすすめです。
私たちは夫婦はいろいろ勉強した結果、以前はCompassion Internationalに継続寄付していて、その後家族内の財政状況や仕事内容を話し合い、今はストップしています。家族の状況って常に変わるので、継続寄付することだけが良いとは思いません。
でも、応援できる「推し」の活動や団体があるのは、とても幸せなことだと私は思います。世界や社会を見てると絶望しか感じない時ってよくありますが、希望を感じるためには、行動するしかないんです。


#効果的利他主義 #寄付 #紛争 #EffectiveAltruism #受刑者 #更生  



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