見出し画像

UC Berkeleyで法律家向けのプログラミング(Python)の授業を履修してみた

UC Berkeleyでは、最近のリーガルマーケットのトレンドを踏まえて、2021年春学期に初めてComputer Programing for Lawyersという授業が開講しました。

私は、記念すべき第一回目を履修・修了したので、その内容を留学体験談として記せればと思います。

履修を決めた理由

Computer Programing for Lawyersの履修案内によれば、弁護士がプログラミングを習得するメリットとして、クライアントの商品やサービスを的確に理解してリーガルサービスを提供できるようになる、弁護士業務の過程で大量の情報を収集・整理して利用できるようになることなどが挙げられています。(参考)https://www.law.berkeley.edu/php-programs/courses/coursePage.php?cID=27580&termCode=B&termYear=2021

私はプログラミング未経験でしたが、留学後に、Tech企業の商品やサービスを的確に理解しエンジニアとプログラミング言語レベルも含めた生産的な議論ができるようになりたい、システム開発の訴訟/紛争解決に尽力したい、という気持ちから履修を決めました。

授業の内容

Pythonを学びました。

当初、私は法律家向けの授業であるため、コードを眺めながらプログラミングとはどのようなものかを理解するという授業内容だと勝手に想像していました。しかし実際は、毎週課題が与えられてコードを自分で書くというものでした。エラーに頭を悩まされながらコードを書いて一日が終わることも多々あり、法律を学びにアメリカに来た事を忘れる日もありました。

生徒は23名でLLM生のみならずJD生も含まれます。日本人は私一人でした。毎週火曜/木曜にそれぞれ2時間程度の授業があり、火曜は教授の講義、木曜は生徒3~4名のグループに分かれて協力しながらコードを書くLabといった要領で授業は進みました。

履修登録では、開始から数分で募集人数の上限に達した記憶があります。非常に人気の授業で、シリコンバレーに近いこともあってか、UC Berkeleyに入学した多くの学生達が今、プログラミングを学ぶ必要性を感じていることを知りました。

書けるようになったコード

以下のようなコードを書けるようになりました。(なお、いずれもプログラミングを学んだ経験がない法律家が自身でコードを書けるレベルまで簡素化されたものです)

・ビットコインのトランザクションを検証するための、ハッシュ値を見つけるプログラム(ビットコインのマイニングの仕組みを学ぶ)

・著作物に関する情報を入力すると著作権の保護期間を自動的に算出するプログラム

・指定したTwitterアカウントのツイートの中から、特定のキーワードを含むツイートを抽出するプログラム(訴訟における証拠収集などに役立つ)

・判例データベースから特定のキーワード(例:privacy)を含む判例を検索し、その判例情報から必要項目(判決日・タイトル・サマリーなど)に絞り、Excel出力するプログラム

・単語リストと照らし合わせて、ファイル本文のスペルミスをチェックするプログラム

・簡単なゲームのプログラム(ゲーム内容も自分で考える、私は恋愛シミュレーションゲームを作成しました)

など


結果として、この授業ではHonors(H)の成績をいただくことができました。

授業の最後には、教授から全員にPythonを履歴書のSkillに書いてよいとの話がありましたので、LinkedInのSkill欄にPythonを追加しました。また、教授がデザインしたステッカーが生徒に配られ、私は嬉しくて留学用のパソコンとトランクに貼りました。教授によれば、今後もComputer Programing for Lawyersを修了した学生には、その証としてステッカーを配布する予定とのことです。

今後、Berkeleyで学んだプログラミングの知識を弁護士業務に役立てられればと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?