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いくつもの難局を乗り越えて来た先にピアノと向き合ったそんな時・・・。

2021年2月23日(祝)AM5:34。

ふと目覚めた時に思ったことを残したくて、PCを開いた。


ピアノ・・・24年ぶりに私は、ピアノの練習を本格的に再開した。

26歳の時にレッスンを終えて以来、まともに練習したことはなかった。

元々、コツコツと続けるタイプではなかったにしろ、カワイ音楽教室で20年近くレッスンを受け(途中、受験期に辞めた記憶も朧げにあるが)指導グレード6級まで到達するところまで弾くことが出来た。

けれど、それ以降は、プロのピアニストの演奏を聴く事が多くなり、圧倒的なピアノの音色に傾倒した。

当時、自分の奏でる音の美しさはこれっぽっちも感じていなかった。

自分の演奏にはうんざりするばかりで、弾いていて少しも楽しめなかった。

思えば当時は、ただただピアノを弾く技術だけに集中していたような気がする。ひとつひとつの鍵盤の音に丁寧に集中する事がなかった。

当時の演奏記録が残っていたら聴いてみたいが、あいにく音源は何一つ残っていない。


♪♪♪


そんな私が、最後のレッスンから24年位経った今、ピアノの奏でる音の一つ一つの美しさに惹かれている。

一つの鍵盤を触る指の強弱、気持ちの入れ方によって全く違う音色が出ること。丁寧な感情をそこに表現した時、なんと美しい音を奏でることが出来るのか。

それはたとえ曲でなくてもいい。ピアノの鍵盤のひとつひとつの美しさに私はこの歳になってようやく初めて気付いたのだ。

そして最近では、当時好きだった曲の数々を再現することに近付いて来た。


♪♪♪


思えば、私は若い頃、淋しさや不安の感情を抱いた時、ピアノに向かっていた。ピアノの演奏を黙々とすることで、気持ちを落ち着かせていたような気がする。

自分と向き合う作業だった。

そこに言葉は何も要らなくて、ただ音符を辿って弾いた。

その時の演奏がどんなものだったのか、今は覚えていない。きっとひとに聴かせるようなものではなく、自分だけが聴いている、そんな音だったと思う。


♪♪♪


50歳。子育ても終わりに近付き、2人の息子は大人になり、そろそろ1人の人生が始まる時が見えて来た。

そんな時、将来への不安やひとりでの孤独を胸に抱え、また更年期と言う複雑な時を迎えて、私はピアノに向かう事となった。

若い頃とは違う、人生を奏でる、そんな気持ちで・・・。

当然、24年のブランクがあるので、最初から元の演奏通りに弾けるわけもない。

急に思い立って毎日練習を始めた私は、何とか当時の指の感覚を思い出したくて、今度こそ諦めたくなくて、ひたすら弾いた。

最初は30分もすれば、指や手首が痛くなった。それがやがて気付けば1時間を超え、次から次へと当時の記憶を辿りながら、当時好きだった曲を手当たり次第に弾いた。そんな中、集中した時間が3時間経っていたこともある。

練習を初めて40日程が経ったある日、管理会社から電話が鳴った。少し丁重なその声に私はその内容をすぐに察した。

「もう少しピアノの音を小さく出来ませんか?」と言うメッセージ。ご近所からクレームが出たようだ。管理会社の人は申し訳なさそうに低姿勢な物腰だったが、その文言以外、何を言われたか私はあまり覚えていない。

電話がかかった瞬間にもう内容を察してしまったので、「すみません・・わかりました。。。」と言うのが精一杯だった。

40日余り、そのご家庭はずっと辛抱されていたのだろうか?

ここに越して来て丸6年。聴こえたことのなかったピアノの音が突然、毎日2時間位鳴り続けたのだから、驚かれたことだろう。

ようやく重い腰を上げて、管理会社に連絡されたのかもしれない。もしくは暖かい陽気の日だったので、窓を開けておられて、いつもにも増して音が大きく聞こえたのかもしれない。このコロナ禍で、在宅される家も多いのかもしれない。

いろんな事が頭の中を巡り、私は、途方に暮れている。

色々な対応策をあらゆる練習仲間が教えてくれた。試してみようと思うものの、音を出すのが怖い。

少なくとも週末や祝日など、世間のお休みの日は練習を控えようか、消音ペダルをずっと押しっ放しで練習しようか(これはちっとも楽しくない)などとも考えているが、ここで練習を全て辞めることは出来ない。

今の私にとって、何よりの拠り所となっているのがこの45年間連れ添ったピアノなのだ。

今まで練習時間は、午前中や正午前後が多かった。時間をずらせばまだ許されるのか?など・・・。色々と考えているが、絶望したくない。


あぁ。。。

思えば私は今まで、数々の苦難を乗り越えて来た。それについてはまた改めて記事にしたいと思っているが、その度に強さを身に付けて来たつもり。

それらに比べたら、今回の問題など、ちっぽけなものだ。

とは言え、どうこの難局を乗り越えようか。

諦める訳にはいかない。


追記:私が近所からクレームが出たことをStand.fmで聞いたのか、近くに住む友人が教えてくれた。最寄り駅にある音楽教室で、貸しスタジオがあるとか。たまにはそんな部屋を借りて、普段弾くことの出来ないグランドピアノを楽しむのもありかもしれない。諦めなければ、抜け道はいくらでもある。

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