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座席の壁は誰のもの?

電車の座席にある壁は誰のものなんだろうか?
座っている人?立って寄りかかっている人?

眠りたいからと端から2番目の席に座り、
端の席が空くのを今か今かと待っている。
乗り換え駅でたくさんの人が降りると、
狙い通り隣の彼女は降りて行った。

よしよしと、腰を浮かして端の座席に移動する。
「はぁ、これでゆっくり眠れるぞ」と、
体を壁に預けると、女の長い髪がかかったり、
また上に引き上げられたりするではないか!
「そっちも寄りかかってんのか!」
壁を挟んで反対側から立っているお姉さんが私の壁に寄りかかっている。
気になってしょうがない!
せっかく端の席を取ったのに、眠れないじゃないか!

「ちょっとお姉さん、あなたの長い髪が私の安眠を妨害してますよ」
とても言う気にならない。
うーんうーん、せっかく安眠できると思ったのに。
寝る気満々だったのにぃ。

悶々としている内に眠気も覚めて来たので、
眠るのを諦めて本を読むが、視界の端にある髪がやはり気になる。
作品の世界と髪の毛を行ったり来たり。

あぁ、この壁は誰のものなのか。

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