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朝のイライラ

あっ、目覚めたな、と思う。
朝4時前。
Kはまどろみの中、2、3回体をくねらす。
少しずつ意識がはっきりしてきて、今日が始まると気づいた途端
kは興奮全開モードで飛び起きる。

Kはたぶん学校が嫌い。
学校がある日は怒りで目が覚める。
寝室を飛び出し、リモコンでテレビをつけ、
続いて食器棚からスプーンを出す。

テレビをつける行為と、スプーンを出す行為はKのイライラの表現だ。
いつからそうなったか、どうしてそうなのかわからないが、
決まってそうだ。

意味不明ではあるが、イライラしていることは伝わる。
適切ではないかもしれないが、ひどく困った問題行動でもない。
誰かをたたいたり、物を壊したりするよりは100倍いい。

でも、イライラの気持ちはビシバシと伝わってくるので、
朝の4時前に、この感情から始まる一日はKも母もしんどい。
(ここのところずっと続いている)

叫び声を出すかも知れないので、夜の間開けておいた窓を慌てて閉める。
朝4時の地球は静かで気持ちよい。
「おはよう!地球」とつぶやいて、後ろ髪引かれる思いで窓を閉める。
部屋の中は鍋の中の沸騰寸前のお湯のようにフツフツしている。

「車に乗りたい」
「プールに行く」
「温泉」「山」
次々出てくる語気強めの言葉は、週末の象徴ばかり。

スケジュール表の今日の印が火曜日の置かれているのを見るや否や
その印を切れ気味で日曜に移動させる。

そのあと玄関に走り、通学用の革靴を下駄箱にしまい、運動靴をセットする。

Kは分かっている。
いくらカレンダーをいじろうが、革靴をしまおうが今日は火曜日で
学校がなくなるわけではないことを。

でも嫌だと思う気持ちをおさめられないのだ。

母はかける言葉を持たない。
今日はイライラは長いなーとか、
学校つらいよねーとか思いながら、
ことさら注目しないように朝食の準備にかかる。

しばらくして、kが「高校」と突然つぶやく。
自分で気持ちに折り合いをつけた瞬間だ。
興奮がシュッとしぼみ、朝の一連の流れをこなしていくk

誰しもこれから始まる一日が憂鬱なとき、ありますよね。
その気持ちがはっきり行動に表れてしまう。
そして気持ちに折り合いをつけるのに長く時間がかかる。

そんなKですが、一人で気持ちを切り替えられるのはえらいなと思う。


母は心のどこかで学校へ行かない選択肢もあるのかなと思いつつも
がんばって学校に行ってくれていることにホッとしている。



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