【第六回】チャップリンが生きた道~作品紹介
これはチャップリンの有名な言葉だが、実は母ハンナの言葉でもある。
チャップリンの作品がこれまで愛されてきたのは、シンプルに「前向きになれるから」と言える。
貧困でボロボロの服に身を包み、孤独に彷徨うちょび髭の放浪者は常にポジティブだ。家や食べ物や仕事がなくても、苦しい生活なりに楽しく過ごし、愛する人に一途に尽くす。
作中の放浪者チャップリンは、不幸な状況をネガティブに捉えていない。たとえ落ち込んでも「まあ、何とかなるさ」と立ち直り、深く考えずに生きている。
「モダン・タイムス」のラストシーンでは、「なにをやっても無駄だわ」と悲しみに打ちひしがれる女性に「Buck up - Never say die. Well' get along!(元気を出して、弱音を吐いちゃいけない。二人ならやっていけるよ!)」と励まし、ジェスチャーで笑顔でいようと伝える。
幸せそうに笑う2人は一本道を真っ直ぐ進み、希望に満ち溢れた後ろ姿が映し出され終わる。
チャップリンにしては珍しくストレートに、勇気づけるメッセージを伝えにきている。
モダン・タイムスや他の作品同様、テーマが社会風刺であっても、大前提として「人を楽しませる」「笑顔にさせる」ことに徹底しているのだ。
今回は、チャップリンの作品をただただ紹介する。前回の記事の続きは、次回公開予定。
キーストン社時代の作品一覧
エッサネイ社時代の作品一覧
「チャップリンのカルメン」と「三つ巴事件」に関してはエッサネイ社がチャップリンの退社後、フィルムを勝手に編集して公開した作品である。
知らないうちに編集されてしまったチャップリンはひどく落ち込んだ。この事件以降、契約書には(フィルムの)カット・水増し・改変を加えてはいけない、という条項を入れるようになり「教訓になった」と述べている。
ミューチュアル社時代の作品一覧
ファースト・ナショナル社時代の作品一覧
ユナイテッド・アーティスツ時代の作品一覧
1957年以降の作品一覧
1952年9月にチャップリンは「ライムライト」の宣伝のためイギリスへ向かうため船に乗るが、船上でアメリカ政府から再入国拒否を告げられる。後になって再入国拒否は解除されたが、アメリカに嫌気が差していたチャップリンは1955年にユナイテッド・アーティスツの株式を売却し、アメリカから距離を置き始めた。「ニューヨークの王様」はイギリスで製作された。
ー続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?