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ぎゅうにゅう太郎とまよなかのでんしゃ(静岡新聞社)

『ぎゅうにゅう太郎とまよなかのでんしゃ』
作:風鈴丸

木版画家風鈴丸氏の作品の幻想的な雰囲気そのままに、(本作の絵は版画ではないが)暖かい夢のような世界が広がる絵本。

幼い頃からずっと仲良しだった猫のあやさんを亡くし悲しみにくれる”ぼく”は、ある晩ぎゅうにゅう太郎という牛乳から生まれた妖精に連れられてポエルポエルの国へ行く。虹のうまれる森、虹のたね、月のテラスに三日月のお茶…不思議な世界を回りながらたどり着いた金色の砂浜に待っていたのは…。

ポエルポエルの国とは作者の心象世界であるらしい。本作には出てこないが、表紙裏には国全体の地図があり詳細な設定があるようだ。ぎゅうにゅう太郎が何者なのかはわからないが、全体を通して”ぼく”を優しく導いてくれる。画面の端々で可愛らしい行動をとっているのを探すのも面白く、美しい色彩は眺めているだけで心地良い。愛するものとの離別の物語をファンタジーで大きく包み込んだ、暖かい作品だと感じるものだった。
我が子も美しい色彩や優しい話が気に入ったのか、内容の理解は一部難しいようだが時々読んでほしいとせがんでくるお気に入りの作品である。

■初めて読み聞かせた年齢:3歳
■読んだきっかけ:家にあった
家には縁あって風鈴丸氏の作品が飾ってあり馴染み深いが、私自身は木版画家としての彼女の作品しか知らなかったためこのような絵本を出していることも手に取るまで知らずにいた。

□なんとなく評価(最大5)
・わかりやすい言葉づかい:☆☆☆☆
・理解しやすい物語:☆☆
・我が子にウケた:☆☆☆☆
・自分が面白かった:☆☆☆☆☆
・絵の多さ:☆☆☆☆☆
我が子には猫のあやさんが亡くなっていることすらうまく伝わっていない気もするが、無理に理解せずとも楽しめると思う。


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