【パッケージの話006:組箱】
そのほかのトムソン箱(組箱)です。
いろいろなトムソン箱
一枚の紙をトムソン(木型)で抜いてできた箱は全てトムソン箱(組箱)なので、あらゆる形状があります。
前述のもの以外で多いのが、インロー式やスリーブ、N式やピロータイプなど。なんとなくの用途でマトリックスにしてみました。(あくまで経験的イメージ)
素材や加工でイメージは変わりますが、高級なものは身フタ箱になるイメージがありますね。
スリーブ箱
身箱の形状は同じで、筒状にしたフタ部分から引き出して開けます。筒状で止まる部分がないので、シール等で止める必要があります。
↑これは2018年にデザインしたタオルのパッケージ。
ここからは私の手掛けたデザインではないですが、参考資料としてご紹介。
スリーブの箱に入ったお菓子です。注目点は点線部分。切りっぱなしではなく折り返しています。雑貨や安価な商品では断裁したままのものも多いですが、高級感や品質感を出したい時は折り返して糊付けします。もちろんコストはあがりますが、紙の端で手を切ったりしないための気遣いです。
このような黒いトムソン箱で、たまに「小口の白が気になる」という方がおられます。この箱の四角に見える小さな白い点ですね。
解決法としては、両面黒の紙を使うか、裏面を印刷するしかありません。どちらにしてもかなりコストアップになる可能性が高いです。パッケージに長く関わっていますが、費用対効果からしてもこの小口の色を気にしたことないです。
N式(ギョーザ箱)
次はN式(ギョーザ箱)の箱。例として名古屋のお土産、ウイロバー。デザインも形も、このパッケージとても好きです。
展開図はこんな感じ。糊付けなし、組み立てだけでできる、良くできた形状だと思います。
インロー式の箱
インロー式のインローは、あの「印籠」から来てると教わりました。要は、身フタ同サイズで、内側にもうひとつ箱形状のものが入ってるということ。
これは貼箱ですが、身フタの隙間から見えてるのがインロー。
こんな風にインローを見せる箱もありますが、見せてないものもあります。
石屋製菓さんのSaquシリーズは、トムソン箱で内側にインローが入ってる箱。
身フタ、インロー全て総柄!珍しいですが、これがこのメーカーの特徴になってますね。サイトにはもっといろんな種類が見れます。ほとんどがインロー式のトムソン箱です。
ISHIYAオンラインショップ https://www.ishiya-shop.jp/
このように、いろんな形状のトムソン箱がありますが、用途やどういった価格帯のものに使われているかを知っていることが大事です。例えばお菓子なら、中身が同じものでもキャラメル箱なら低価格帯、身フタ箱なら高価格帯、といった使い分けを自然にしていることが多いです。
個性的な箱を作りたい!変わった箱を作れば目を引いて売れそう!---デザイナーとしてはオリジナリティの高いものを作りたいという気持ちはわかります。ただ、製造現場や輸送、売り場の状況を考えると難しい。パッケージは商品保護が最優先事項なので、デザインだけでは押しきれないハードルがいくつもあります。似たような箱や形状ばかりでつまらない!かもしれませんが、多く流通しているということは、それだけどの現場でも扱いやすいパッケージということなんですね。
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