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言葉が織りなすエピソード

我が子は小学2年生。日々いろんな言葉を覚えて帰ってくる。最近の彼女の口癖は「ガチ」だ。

ガチきもい
ガチおもしろい
それガチ?

我が子の口からガチを聞いた瞬間、女子高生かと思った。「えっもうガチとか言うの???」娘の成長に、母は置いてきぼりである。

経験は恥じらいの範囲を変える

私の母は言葉遣いにも厳しい人だったので、「親に対して」「外出先で」いろんな場面で流行言葉を制限された。ガチなんて高校時代に仲の良い友達と数回話した程度である。

流行言葉じゃなくても「おしっこ」とか「おっぱい」とか、そういう当たり前にある子どもっぽすぎて気恥ずかしいレベルの言葉さえも、日常的に使わない方針だった。

そんな感じで育ったからか、子どもを産んで初めて「おしり」と言って、激しい羞恥心に襲われたのは私だけかもしれない。

恥じらう気持ちは、「その場に適正でない」「自分に適していない」そんな意識からくるものだ。子どもを産むまで自分に対して「おしりと言う私」は適していないと思っていたのだろう。経験とは成長でもある。私は「おしり」で1UPしたと信じたい。

良い言葉・悪い言葉

「良い言葉」「悪い言葉」もしくは、「綺麗な言葉」「汚い言葉」など聞こえてきたりもするが、母の教えよろしく言葉にはTPOに応じた良し悪し・清潔さがあると思う。


でも、赤子のおむつを替える時はどうしても「おしり」なのだ。ここで「おしも」と言ったら介護をイメージするだろうし、「臀部」は固い。「おケツ」もなんか違う。ふざけてるの?と言われそうだ。

そんな風に言葉というものは「言い換え」で思いもよらない力を発揮する。おケツじゃなくておしりであるように。本気ではなくガチというように。


娘は普段、私のことを「お母さん」と呼ぶが「あなた」とも呼ぶ。でもそんな現場を私の母に目撃され、娘は祖母である母に雷を落とされた。

お母さんに向かって、あなたとは何だ!!!

要するに、母にとって「あなた」とは親に対する言葉だと認識できないのである。

だが果たしてあなたとはそんなに悪い言葉だろうか。「あんた」なら舐めている感じがするが「あなた」だ。英語だと「you」漢字で「貴方」私は誰からでもあなたと呼ばれたって構わない。

お母さんをあなたと言い換えることがこんなに誰かの逆鱗に触れるとは思っていなかった。

娘はたいそう驚いて固まったが、すぐさま「お母さんにはOKよ。お母さんは良いって思う。お祖母ちゃんにはダメよ。人によるのよ。」と母の前でフォローした。

成り立ちを学ぶ

そんな時、高校の担任の先生の言葉を思い出した。先生は母より少し上の世代だった。授業中、お喋りに興じる生徒に先生は「貴様、しずかにせい!」と言ったのだ。


教室はシーンとして、注意されたクラスメイトが「生徒に貴様って言っていいんですか?」と怒った口調で尋ねた。クラス中が同じ気持ちだった。


しかし先生は「貴様」とは「あなたさま」だと教えてくれた。私たちのクラスでは、自分たちは言葉の成り立ちを知らなすぎると、考えるキッカケになったのだ。

二人称代名詞に込められた敬意が時代の経過に伴って低下する傾向がある。例えば「おまえ(御前)」や「きさま(貴様)」は、古くは字面通り(後には「貴方様」「御前様」の形で)敬意を込めて使われたものである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

言葉とは成長、言葉はおもしろい

こうやって日々、言葉って面白いな~と思って過ごしてきたが、昨日の娘の発言もなかなかに良かったので共有させてほしい。

2度目のおやつが欲しい娘。「褒められる事をしたならまだしも、さっきおやつ食べてから何回怒られたの?いまのお母さんがあげると思う?」と聞いたら、


え~?数えきれるくらい少ない回数


ですって。いやたしかに数えきれないほどではないけれども!違う違う、娘よ、そういう事じゃない。


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