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火災体験記

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■エピソード4「襲い来る不安感と、襲い来る『ネットの悪意たち』」

■エピソード4「襲い来る不安感と、襲い来る『ネットの悪意たち』」

「家族は全員、無事だった。延焼も無かった。それだけで幸運じゃないか。」何度も、そう思い込もうとしていました。……しかし、ぼく個人で失ったものが、余りにも多過ぎた。

混乱していた頭が徐々に整理されて来ると、次に襲い掛かってきたのは、強烈な罪悪感と自己嫌悪と喪失感でした。不眠と欠食続きで気が狂いそうになり、「このままでは圧し潰されてしまう」と、心療内科の予約を入れ、カウンセリングを受けて精神安定剤を

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■エピソード3「不安と憔悴に包まれた、ビジネスホテル生活」

■エピソード3「不安と憔悴に包まれた、ビジネスホテル生活」

ほぼ徹夜で完全に頭がボンヤリしている中で、充電中のスマホから着信音が鳴り響きました。慌てて電話を取ると、地元の消防署さんからでした。慌てて昨日の消火活動のお礼を言うと「いえ、消火活動は我々の義務ですから。……それより、朝早くから申し訳ありませんが、昨日、警察から事情聴取書のコピーが届いていますので、確認を行いたいのですが今からご足労願えませんでしょうか?」という言葉が。徹夜状態・昨日の夜から何も口

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エピソード1「不幸はいつも突然に」

エピソード1「不幸はいつも突然に」

それは、1月15日の金曜日の16時過ぎ。いつものように会社に出勤していたぼくは、一日の仕事のノルマを全て終え、事務所で会社のパソコンで社内メールチェック等を、のんびりとしておりました。その「のんびりとした空気」を突然変えたのは、血相を変えて事務所に飛び込んできた係長の大きな一声でした。
「オイ大変だ!! お前の家。火事になっとるらしいデ!」
またいつもの冗談と思ったぼくは係長に「まーた始まった。そ

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