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ドドゥプチェン猊下の、遺訓

「ゾクパチェンポ・ロンチェン・ニンティク」の法主チューダクであられたドドゥプチェン猊下が遷化されてから、二年となります。

遷化される数か月前、猊下が遺されたという御言葉が最近、公開されました。以下、英語からの翻訳になります。

この御言葉はとても厳しいもので、現代を生きる行者にとっての行動目標になります。

偶然にも年頭の抱負の1つに私が挙げた「浄心法ロジョン」の重要性を、説いておられます。



近年、仏教は衰退の段階に入っています。幸運の時代は終わりを迎え、仏教の本当に最後の残滓に、私たちがいることに気づきます。

私はそのことについて慎重に考えてみたのです。最も重要なことは、仏教の継承に貢献できるよう最善を尽くし、信仰をもつ弟子たちが良き仏法の実践者となるよう協力することだと思い至りました。

阿闍梨ロプンは、仏法の教え方において最も優れています。ありがとう。私はまったく知りませんので、誰かを名指しすることはしません。よって注意点と明白なことだけを伝えます。

以前は、私にとって代わる者として推挙したい生徒が多くいた時期もありましたが、運命はそのようには流れませんでした。心からの生徒がたくさんいたにも関わらず、彼らは私の元を離れて、己の道を希求していきました。私の言葉に耳を傾けた者は、ほんのわずかでした。

これだけは知っておいてください。私たちはよく、名の知れた師僧ラマの話をたくさん聞きます。五部の膨大な仏典やインドの典籍を修めた著名なゲシェ、著名な仏教博士ケンポ、著名な師僧、著名な活仏トゥルクたちです。
彼らは、自分自身の心を統御し損ねて心の毒の奴隷となり果て、悪しき業を生み出します。そして自分も他人も、破滅へと導きます。

たとえばジェツン・ミラレパの時代、ツァクプワという名のゲシェがいました。彼は嫉妬して、毒の入ったヨーグルトをジェツン・ミラレパに捧げました。

あるゲシェは、インドからチベットまでマルパ翻訳官に同行したのですが、嫉妬のあまり、船に乗っているときにマルパ翻訳官がインドから請来した経典をすべて川に投げ捨ててしまいました。

中国軍を引率してチベットに侵攻してきたゲシェもいました。
ゲシェ同士での討論中、相手の耳に金属の棒を突き刺したゲシェもいました。

そのようなケースを考えるととても恐ろしいですし、悲しいことです。私が述べたようなケースは他にも無数にあります。

同様に、何年もおこもり行に入って生起次第・究竟次第の本尊瑜伽を行じていても、出離心や菩提心が彼の心に染み込んでおらず、本来進むべき道とは反対の方向を歩いている行者もいます。
彼らは執着や欲に縛られると、本尊が本来の場所からリアルに存在すると考える罠にはまります。そんな彼らの末路は、越三昧耶の亡霊、悪霊の王です。
この手の話は、枚挙にいとまがありません。

たとえば、私の故郷にはニギャル、ジギャル、ルクギャル等の様々な悪霊が存在します。これらの悪霊はすべて、前世で行者や師僧だった者の成れの果てなのです。

悪霊シュクデンのように、かつては著名な師僧だったり長年お籠り行をしてきた行者も、数多くいます。
しかし彼らは自分の心を統御しなかったために間違った道を歩んだ結果、衆生の命を数多く奪う幽霊や悪霊として生まれ変わったのです。

根本的なすべての原因は、自分の心を統御しないことです。
行きつく先はそこなのです。

そこで阿闍梨ロプンや師僧たちにお願いしたい。
どうか、心相続を統御する浄心法ロジョンだけを教えてください。
心を訓練する修行に指導を集中し、思わず生徒が目に涙を浮かべるほどの浄心のやり方で教えてください。

心の訓練がなければ、決して良い仏教の修行者にはなりません。
もし心の訓練を巧みに教え、人々がそれを実践して訓練するならば、きっと良い修行者になることでしょう。


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